ニコン純正の望遠マクロレンズ、AI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-EDは1993年に発売された、ちょっと古めのレンズです。(残念ながら現在では販売終了しています。)
しかしその描写は秀逸で、マクロ域から無限遠まで絞り値を問わず解像感は高く、ボケも綺麗。今でも十分に使えるレンズだと思います。
<目次>
- 仕事で使う望遠マクロ。
- 外で撮影するときの持ち運びなど。
- 新宿御苑でAI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-EDを使ってみる。
- 国立科学博物館附属自然教育園で撮影してみる。
- そのほか、日常の散歩で撮ったもの。
- 花を撮影するなら長めのマクロレンズがおすすめ。
- 望遠マクロについて。
- このレンズで野鳥の撮影にもチャレンジしています。
仕事で使う望遠マクロ。
スタジオでの商品撮影では、主にジュエリーやネイルチップなど、小さくてライティングを組むための距離が必要なときや、レンズやカメラが商品の光沢面に写り込まないように距離を取りたい場合に必要なレンズとなります。
外で撮影するときの持ち運びなど。
最大径が76mm、フィルターサイズが62mmと細めで、全長約200mmと細長のサイズです。レンズの重さは約1.2kg、D810は約980gなので、約2.2kgのセットとなります。野外での持ち歩きには軽くないですが、最近の太めレンズに比べれば取り回しも良く、軽く感じます。
ちなみにフードはねじ込み式で、取り外しが面倒です。僕はつけたままリュックに入れてしまいます。
新宿御苑でAI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-EDを使ってみる。
ISO 200 , 1/250 , f/7.1 , RAW , C1現像
長い期間、花を楽しむことができるサルスベリ。9月の下旬に散歩しましたがそろそろ花も終わりのようです。新宿御苑にはサルスベリの樹がたくさんありました。
ISO 720 , 1/800 , f/4 , RAW , C1現像
焦点距離が200mmになると、圧縮効果がはっきりとわかるようになります。
ベンチに座っている人が近くに感じますが、それぞれのベンチはそこそこ離れているので、実際の見た目はもっとパースがつき、小さく、遠くなります。
ISO 1800 , 1/800 , f/4 , DX(APS-Cクロップ), RAW , C1現像
玉藻池のカモ。
1羽が突然、激しく水浴び(?)をはじめました。
他のカモは迷惑そうです。
気になったので、拡大してみました。
カメラを意識しているような表情が撮れていました(笑)。
国立科学博物館附属自然教育園で撮影してみる。
ISO 2200 , 1/800 , f/4.2 , RAW , C1現像
このレンズの一番のネックは手振れ補正がないところ。
スタジオでの撮影(ストロボ使用で100%三脚を使います。)では問題ないものの、自然光での撮影では、ちょっとのことで手ブレしてしまいます。
対策としては、ISOを上げ、シャッタースピードを早くするか、三脚や一脚を使用したほうがいいでしょう。
ISO 2200 , 1/800 , f/4.2 , RAW , C1現像
この記事を含めほとんどの場合、僕はAI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-EDを外で使うときは、手持ちで撮影しています。
特に理由はないのですが、このレンズではフットワークを軽くして、たくさんの被写体をいろいろなバリエーションで撮影したいと思うからです。
ISO 800 , 1/250 , f/4 , モノクローム , jpeg(撮って出しリサイズのみ)
なんとなくですが、モノクロームも試してみたくなります。
フィルムには敵いませんが、雰囲気というか、「心象」のようなものを表現できると思うのです。
ISO 500 , 1/1000 , f/4 ,スタンダード , jpeg(撮って出しリサイズのみ)
背景のボケは綺麗だと思います。
ボケているものによっては、ちょっとうるさい感じにもなります。
ニコンのNX Studio では400%まで拡大できます。試しに上の写真の小さく写るトンボを見てみましょう。
同時記録しているRAWデータを拡大してみます。
あれ、、、ちょっと甘い感じですね。
いろいろ原因は考えられますが、、、
ピンぼけか、ブレなのか。。。もしくは逆光で開放だからか。
これだけ拡大すれば、こういうものなのか。。。
ちなみにAI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-EDはナノクリスタルコートではありません。
ちょっと古いレンズなのでコーティングなどはあまり期待はできませんが、そもそもの写りはとてもいいです。
ISO 560 , 1/500 , f/4 , RAW , C1現像
水面の波紋を撮っています。
枝葉の映り込みが気になったので、撮影してみました。
200mmの望遠になると、風景全体を写すのは難しいので、頭は常に「切り取る絵作り」を考えます。
ちょっと不思議に見える場所を狙って撮るのも面白いと思います。
そのほか、日常の散歩で撮ったもの。
ISO 1400 , 1/250 , f/32 ,スタンダード , jpeg(撮って出しリサイズのみ)
稲架掛け(はさがけ)を見つけました。
絞りを最小絞りのf/32にして、できるだけパンフォーカスになるようにしました。
このレンズは、回析現象の影響が少ないように思います。
こういう写真は「周波数が高い」なんていうのでしょうか。
jpeg撮って出しをリサイズしようにも、なかなかファイルサイズが小さくなりません。(このブログの1画像あたりのファイルサイズは、150〜200KBになるようにしています。)結局、圧縮率が高くなりすぎるので、330KBと少し大きめになってしまいました。
ISO 5600 , 1/500 , f/4 , スタンダード , jpeg(撮って出しリサイズのみ)
神社の建物でよく見かける懸魚(げぎょ)。
200mmなので、こうした「部分」の撮影も狙ったところを写せます。
神社のスナップ撮影では広角レンズをよく使いますが、望遠マクロを持っていくのもいいですね。
荷物が、ちょっと重くなりますが。。。
ISO 320 , 1/500 , f/5.6 ,スタンダード , jpeg(撮って出しリサイズのみ)
紙垂(しで)越しの石仏。
AFはオートかマニュアルかの切り替え式。
AFでざっくり合わせて、マニュアルで追い込むといった使い方はできません。
その代わりピントリングの幅はとても広く使いやすいです。
AFスピードはそれなりですが、こうした何気ない風景を撮るときなど、やっぱりAFがあるとスムーズに撮れるので重宝しますね。
花を撮影するなら長めのマクロレンズがおすすめ。
ISO 250 , 1/400 , f/6.3 , RAW , C1現像
朝の光が直接当たらない場所で、花がしっとり咲いていました。
望遠マクロは、やっぱり綺麗に撮れます。
最近では、望遠のズームレンズでも綺麗に撮れますが、単焦点レンズは一味違います。
描写の素直さというか、ヌケの良さというか、気持ちよく写ります。
望遠マクロの場合は、不自然なパースも付かず、花の形が正確に描写されます。
ISO 250 , 1/800 , f/4.2 ,スタンダード , jpeg(撮って出しリサイズのみ)
望遠マクロレンズで、花を撮影するときのメリットは、
- 撮影ポジションに自由度が増す。
- 背景が広く写らないので整理しやすい。
というのが一般的だと思います。
個人的には、200mmぐらいの焦点距離になると、花(被写体)との距離がちょうどよく、悩まずにテンポよく、スナップ的に撮りやすいと感じます。
最近では三脚などが使用できない場所も多く、人通りが多いところもありますね。自分にあった焦点距離で素早く撮れるのも、レンズを選ぶ重要な要素のひとつだと思います。
ただ、ズームレンズの方が立ち位置を変えられない場合には、寄り引きを調整できるので便利ですよね。。。
望遠マクロについて。
ニコン、シグマ、タムロン、これらのメーカーからはもう200mmクラスの単焦点望遠マクロレンズは発売されていません。どのメーカーも以前はラインナップにあったのですが、やはりニッチな分野になるので採算が合わないのでしょう、販売が終了しています。
できればニコンがZマウントで200mm望遠マクロを発売してもらいたいですね。
ということで、現在では中望遠マクロが選択肢になります。
ニコンの最新のZマウントで105mmマイクロ。
一度は使ってみたい「タムキュー」。
シグマ好きには、ソニーEマウントで105mmのマクロもあります。
このレンズはLマウントもありますね。
絶対に必要というわけではありませんが、マクロレンズがあると表現が広がりますし、撮影の楽しみも増えると思います。
このレンズで野鳥の撮影にもチャレンジしています。
200mmでは野鳥の撮影は厳しいですが、カワセミ撮影にもチャレンジしました。