都内では夏の探鳥地が少なく、満足のゆく野鳥撮影がなかなかできません。そんな中、試しに訪れた石神井公園では野鳥が多くいることがわかり、念の為に持ってきていたレフレックスレンズ、TAMRON SP 500mm F/8(55B)で撮影してみることにしました。ボディはNikon Z7。Fマウントの55BをFTZを使って取り付けています。
<目次>
- カワセミがいました。
- マニュアルフォーカスのレンズを使うときの設定。
- レフレックスレンズのリングボケなど。
- カワセミの幼鳥(?)が魚獲りを練習中かな。
- 石神井公園で撮影できた、そのほかの野鳥や花など。
- 石神井公園について。
- レフレックスレンズ TAMRON SP 500mm F/8(55B)。
カワセミがいました。
三宝寺池の水辺観察園近くの木道を歩いていると、「キキー」というカワセミの鳴き声が。周囲を見渡すと、いましたカワセミです。近くにいた野鳥狙いのカメラマンさんもレンズを向けています。
木道は狭くはありませんが、三脚を使えるほどではありません。人の通りもあるので手持ち撮影になります。
この時期は木々の葉も茂っているので野鳥撮影には暗く、あまり良い条件ではありませんでした。
マニュアルフォーカスのレンズを使うときの設定。
ここで、マニュアルフォーカスのレンズを使うときに便利な設定を書いておきます。
(使用したボディはNikonのZ7です。)
- 「カスタムボタンの機能」から「AF-ONボタン」を選択。
- 「押し時の動作」を「拡大画面との切り替え」を選択。
- 等倍(100%)もしくは高倍率(200%)を好みで選択します。
僕は等倍(100%)を選んでいることが多いです。
AFエリアモードはシングルポイントAFにしていますので、AF-ONボタンを押すとフォーカスポイントが拡大されるので、咄嗟にピント合わせを追い込むのに便利です。
ゴイサギの幼鳥、ホシゴイが枝にとまって休んでいるようです。
動かないでいてくれるので、フォーカスポイントを移動して、拡大、ピントを微調整してシャッターを切るといった、ちょっと時間がかかってしまう撮り方をしても大丈夫でした。
この動作、慣れると結構すばやくできるようになります。
ドクダミの花が咲いていました。
花の撮影なら、動かないので問題ありません。じっくりピントを合わせ、露出や構図も考えて撮影できます。手持ち撮影なので、手ブレには要注意ですね。
このカットではレフレックスレンズの特徴であるリングボケはほとんどわからないと思います。
レフレックスレンズのリングボケなど。
jpegの画像は撮って出し、ブログ用にリサイズのみしています。
条件が良かったのか妙に立体感のあるカルガモが撮れました。水の流れにでたリングボケもいい感じです。
レフレックスレンズでは、嵌ったときに「おっ」と思う写真が撮れることがあります。
もちろん、「嵌ったとき」というのは人によって違うとは思いますし、リングボケがでるという理由だけで嵌るわけではありません。とはいえ、こういう感覚を体験できるレンズはずっと手元に置いておきたくなりますね。
好みが分かれるリングボケですが、個人的には嫌ではありません。むしろ、好きな描写のひとつと言えます。ただ、個性の強い描写でもあるので、手放しですべてがいいと思っているわけではありません。なので、せっかくの珍しい鳥を撮影できたとしても、台無しになる可能性も多々にあります。逆に何気なく撮影したカットが自分の中で特別なものになることもあって、定期的に使ってみたくなる表現のひとつでもあると思っています。
レフレックスレンズは原理上、色収差がでません。年代的には古いレンズなので、Z7の解像力に負けてしまっている感じもしますが、この色収差が無いおかげで同年代、同価格帯のレンズよりも解像度は高く感じらます。
ただ、逆光に弱くフレアが出ることがよくあります。この場合は現像ソフトの「かすみの除去」等を使って修正していますが、これを逆手にとり、あえてフワッとした表現としてみるのもいいのではないかと思っています。
水面に浮かぶカイツブリを撮影。周辺減光はそれなりにあるようです。
個性的な写りを期待してレフレックスレンズを使っているので、周辺減光も大歓迎です。
周辺減光や、背景のボケのザワつきなど、レフレックスレンズ以外のレンズでも好みが分かれるところです。
一口にレフレックスレンズと言っても、過去、各メーカーからさまざまな種類が販売されており、それぞれに描写は違うので自分の好みのものを探すのは大変です。年代的に中古のものを探すと思いますが、個体差も出てきます。いいレンズに巡り合えるかどうかは運次第ですね。
トキナーからはデジタルに合わせて再設計されたSZ 500mm F8 Reflex MFというレンズが販売されており、これなら新品でも購入可能です。
リンクはZマウントです。そのほか、各マウント用も販売されています。
SZ 500mm F8 Reflex MFはTマウントという方式をとっており、レンズのTマウント部分の交換で1本のレンズを複数のボディで使用することが可能です。
このトキナーのレンズ、気になってるんですが情報が少ないですよね。
カワセミの幼鳥(?)が魚獲りを練習中かな。
「ボチャン」と水に何かが飛び込む音が聞こえたので、よく目を凝らすとカワセミがいました。
成鳥になったばかりなのか、ちょっと幼い感じのするカワセミです。
周りをキョロキョロと見渡しながらも、何度も水に飛び込んでいました。
かなり暗い場所にいたので、ISOが25600となかなかの高感度を使っています。jpegの撮って出しではかなり暗かったのでRAWデータから無理やり明るくしています。
何度も繰り返していたので、置きピンしてシャッターを切りました。
次の画像は上の画像のカワセミを拡大したものです。
ちょうど置きピンもうまくいったようで、ピントもバッチリのよう。荒れた画像ではありますが、目に入った小さいキャッチや、足の爪先もはっきりとわかります。
荒れた画像の粒子感ならぬ、ドット感。もしくはピクセル感(?)。デジタルでも高感度域を使うとザラつきが出て、これはこれでいいような気もします。昔の増感した高感度フィルムのようです。暗い中で撮った写真という臨場感が伝わってくるので、個人的には肯定的に捉えています。
カワセミは何度も飛び込んでいましたが、獲物を捕まえてくることはありませんでした。上手くなって魚を獲ることができるようになるといいですね。
石神井公園で撮影できた、そのほかの野鳥や花など。
ガクアジサイの花。
園内はこの時期、まだアジサイがたくさん咲いていました。
訪れたのは6月の末です。
ワルナスビ(悪茄子)が花を咲かせていました。
なかなか厄介な外来種。有害雑草とされています。葉や茎に鋭いトゲがあり、実を含めた全体に有毒で食べることはできません。家畜などが食べても中毒死することもあるそう。
耕運機などですきこむと、切れた根のひとつひとつから芽が出て増えてしまうそうです。除草剤が効きにくいので、駆除するのが難しい植物とのこと。
花言葉は「悪戯」とのことですが、いたずらどころではないですね。
アオサギがかなり近いところにいたのでレンズを向けると、奇妙な角度に首を曲げ動かなくなってしまいました。
周囲の草に擬態しているような形。驚かせてしまったのかも。単に首をかしげただけかも知れませんが実際のところはわかりません。
少し距離をとると、すーっと離れて行きました。
びっくりするほど陸地に近いところで抱卵するカイツブリがいました。
通行人が見ていても、僕よりももっと大きいレンズを向けるカメラマンがいても、まったく気にせずに卵の位置を調整し、収まりのいいように座り直していました。
とは言え、あんまり長い間見ているのもよくないと思い、すぐにその場を離れました。
三宝池を離れ、石神井池のほうに来るとカワウが羽を乾かしていました。
東京近郊では、この時期野鳥がだいぶ減ってしまいます。そんななか、石神井公園はたくさんの野鳥がいて満足のゆくバードウオッチングができました。
石神井公園について。
常時開園している公園で入園料などはとくにありません。無料。
公共交通機関を利用する場合は、西武池袋線「石神井公園」下車、徒歩7分。
そのほか、西武新宿線「上井草」より長久保行きバス「三宝寺池」下車。
駐車場は有料となりますが、24時間利用可能です。
トイレの利用も問題ありません。
また、園内には豊島屋という、ラーメンやうどん、おでん、カレーなどが食べられる休憩所があります。ビールやかき氷もあるのでのんびりしてしまいそうです。
こちらの記事では石神井公園の様子をNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sで撮影しています。
このあと秋頃にAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRで撮影した石神井公園での野鳥観察の記事も書きました。
レフレックスレンズ TAMRON SP 500mm F/8(55B)。
だいぶ前に中古で見つけて購入しました。3万円くらいだったので、お試しのつもりでしたが、かなり気に入っています。
TAMRON SP 500mm F/8(55B)のサイズは以下のとおりです。
- 最大径:84mm
- 全長:91.5mm
- 重さ:575g
軽く、コンパクトなので大きくないカメラバックでも収納が可能です。
最短撮影距離が1.7mですが、焦点距離が500mmなので花などを撮影する場合はかなり大きく写すことができます。
フードを装着する径は82mm。フィルター径は30.5mm(ボディ側、マウント内側に装着するもの)です。
ニコンのFマウントになっていますが、一眼レフでの使用では手ぶれ補正がないのでかなり手ブレしやすく、ピント合わせも難しいです。ミラーレスのZボディで使うことで、ボディ内手ぶれ補正とピント位置拡大によって十分に楽しめるレンズとなっています。
Zマウントボディで使う前はソニーのα7系のボディで使っていましたが、こちらも同様に使用でき、個人的には長く愛用しているレンズとなります。
ニコンもレフレックスレンズを販売していたことがあり、そのあたりのことは、ホームページにある、「ニッコール千夜一夜物語」にも紹介されています。
過去に1000mmや2000mmといったレフレックスレンズがあったのは驚きです。
ニコンのボディを使っているので、ここで紹介されている <New>Reflex-Nikkor 500mm F8 というレンズの中古を探していました。実際に程度のよい中古を見つけることができ、値段も手頃。購入しようかと思いましたが、もうすでにタムロンのSP 500mm F/8(55B)のほうに愛着が湧いてしまい見送っています。
中古市場では、どちらもそこそこ見かけるので興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。