少し前になりますが、GR3(GR3x)のイメージコントロールに「ネガフィルム調」が追加されました。普段はRAWデータを調整、書き出しすることが多いのですが、やっぱり新しいイメージコントロールは気になります。ということで「ネガフィルム調」に設定してスナップしてきた写真をアップしてみます。
<目次>
まずはネガフィルム調で撮ってみた。
ネガフィルム調に設定して、色々撮ってみました。写真に合わせて基本的なことを書いておきます。
GR3はメインとしてもサブとして使える、APS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラ。散歩など、とくにこれといった目的がないときにでも持ち歩くことが面倒にならない、軽量コンパクトなカメラです。
そんなGR3の、jpeg画像の色味を設定できるのがイメージコントロール。その中でもSNS等で人気の「ポジフィルム調」は、高めの彩度にこっくりとした深みを感じる色味で、僕もよく使う設定です。そこで今回、新しく追加された「ネガフィルム調」はどんな写りなのか、常用設定にして使ってみました。
撮影では、P(プログラムAE)を使い、背面の画面を見ながら露出補正をおこなっています。
その他の設定は以下のとおりです。
- 測光モード:分割
- ISO感度:オート
- プログラムライン:ノーマル
- 測距点と露出の関連付け:オン
- WB(ホワイトバランス):CTE
- 周辺減光補正:オフ
- ダイナミックレンジ補正、ハイライト、シャドーともにオート
*WBのCTEは画面の多くを占める色を強調、光源の色を誇張するモード。純粋なレビューであるなら、オートWBかマルチパターンオートにするべきだったかもしれません。
イメージコントロールの設定には、それぞれに調整できる「詳細設定」があります。この記事内の「ネガフィルム調」の写真は初期設定のまま使っていますが、好みにより調整することができます。撮り慣れてきて、ネガフィルム調をベースに自分の好みの色味に調整することもできます。
ネガフィル調の、詳細設定の初期値は以下のとおりです。
はじめのうちネガフィルム調は、色味が薄く感じてどうにも心配になりました。背面のモニターから受ける印象はレトロやブリーチバイパスといったイメージコントロールに近いかなといった印象。もちろん仔細に比べるとけっこう違います。また、しばらく撮っていくうちにポジフィルム調と対をなすコントラスト、色味なのかなとも思えました。
撮っていると、明るめに写るように感じました。露出は-0.3程度、補正したほうが落ち着くように思えます。彩度は低くあっさりしているようです。とくに空や海の青さは淡い発色をするように感じます。
天気のせいもありますが、緑の発色は渋めに思えます。実際の風景というのは、それほど彩度やコントラストが高いわけではないので、ネガフィルム調の色味が自然な感じで良いのではないのかと思うようになりました。
ネガフィルム調で気になったのはピンク系の色の発色。この写真は河津桜が写っているのですが、実際のピンクはもっと濃いめ。ホワイトバランスをCTEにしているせいか退色感を強く感じます。写真の雰囲気は好きですが、河津桜の色となると褪せた感がかなり強いです。このあたりはイメージコントロールを他のものにするか、詳細設定などで好みに調整した方がいいのかもしれません。
GR3のネガフィルム調とCaptureOneのストレート現像を比較してみる。
ポジフィルム調との比較はwebで検索するとよく見かけるので、ここでは現象アプリケーションのCaptureOneのストレート現像と比較してみることにしました。
CaptureOne21Proを使っています。RAWデータを読み込むとレンズプロファイルは「Ricoh GRⅢ」があてられています。メーカー名のRicohから選べるのは、「Ricoh GRⅢ」と「Ricoh GR」のみ。他メーカーや他機種のプロファイルも選ぶことも可能ですが、GR3に内蔵されているイメージコントロールに該当するプロファイルはありません。
GR3のネガフィルム調は撮って出しjpeg、CaptureOneはRAWを読み込ませた状態からのストレート現象、それぞれブログ用にリサイズのみしています。先のおみくじの画像は違いがよくわかるものの、電車のカットはパッと見でなんとなく違うくらい。ネガフィル調は彩度が低く、少し明るい印象があります。
ベージュ、黄色、茶色といった組み合わせでは、ネガフィルム調は色のりが薄く、少し明るく感じます。記憶している色味はこれが近いかも。CaptureOneは濃い目の色ですが、これは明るさを調整すれば美味しそうになりそうです。
違いがわかりやすいと思われるカットを、大きめに上下に並べてみます。先がネガフィルム調で後がCaptureOne。見比べるとCaptureOneの方がインパクトはありますが、ネガプリントのイメージに近いのはネガフィルム調かと思います。ただ、ネガフィルム・ネガプリントに対するイメージは人によってかなり異なるので、あまりとらわれずに好みかどうかで判断する方がいいのではないでしょうか。
もっとも違いがわかるカットだと思います。河津桜のイメージに近いのはCaptureOneですが、これはこれでなんか違う。やりすぎ感あるかも。ホワイトバランス、明るさの調整など、いろいろ調整をしたいです。ネガフィルム調は何年も経ったL版プリントを見ているよう。「だいぶ昔に河津桜を見に行ったよな」って思い出話っぽい色味。これはこれでカッコいいと思いますが、かなり人によって感想は変わるのではないでしょうか。
使い込んで好みにアレンジしたい。
あえてGR3を使っているなら自分なりの写真表現を追求したいものです。しかし、そうはいっても気軽にスナップもしたいカメラなので、jpeg撮って出しですませたい。イメージコントロールのネガフィルム調は、「思い出の色」のような気がします。程よく褪せた色彩とコントラストが、淡い思い出のように感じるから。こういうちょっとセンチメンタルな部分は個人差も多いと思うので、好みの色に調整して使っていきたいですね。まずは試してみるのがいいと思います。
GR3を持ってるとこれだけでいいってなりかねません。
でもGR3を持っているとGR3xが欲しくなります。
ネガフィルム調は載っていませんが参考にしているのはこちら。