笠取山(かさとりやま)は3つの川の分水嶺や多摩川最初の一滴が見られるほか、山頂への急登、富士山などが見られる展望の良さなど、見どころの多い山です。埼玉県と山梨県の境にあり、奥秩父の主脈の1つ。標高は1953m。「山梨百名山」、「新・花の百名山」にも数えられています。今回は作場平駐車場から頂上を目指します。
<目次>
コースタイムなど。
11月30日(土)晴れ
合計時間6時間35分(休憩含む)
歩行距離 11.6km
登り831m、下り835m
<コースタイム>
作場平駐車場(9:08) → (9:35)一休坂分岐 → (10:27)ヤブ沢峠 → (10:46)笠取小屋[休憩](11:06) → (11:17)雁峠分岐 → (11:32)雁峠 → (11:45)小さな分水嶺 → (12:50)笠取山山頂 → (13:20)水干 → (13:32)多摩川最初の一滴 → (14:02) 笠取小屋[休憩] (14:28) → (15:20)一休坂分岐 → (15:43) 作場平駐車場
笠取山山頂への急登は、霜柱が溶けた影響なのか泥濘んで滑る箇所がありました。初心者的にはここを下りに使うのはちょっと怖い気がします。ストックを使っていましたが、邪魔に感じることもありました。収納するかは迷うところ。
多摩川最初の一滴は、ヤマレコの地図には記載がないので登録できず、道外れの警告が鳴り出します。道標に案内があり、道も整備されているので迷うようなことはありません。
トイレは作場平駐車場と笠取小屋で利用できます。どちらも綺麗でありがたいです。
初心者の50代夫婦。どちらも高所に弱く怖がり。難所などのクリアには時間がかかります。写真撮影・休憩が多いのでコースタイムは標準よりも遅いと思います。
作場平駐車場。
笠取山の登山で利用したのは作場平駐車場です。
- 作場平駐車場 (さくばだいらちゅうしゃじょう)
- マップコード:534 008 176*23
駐車台数はトイレのあるスペースに20台くらい。道路を挟んだ向かいの登山口横に数台程度。少し離れた場所に10台程の駐車スペースがありました。
国道411号から一之瀬林道へ入る所は気をつけないと見落とします(見落としました)。一之瀬林道は舗装路ですが稀に凹みがあります。道幅はやや狭く、すれ違いが難しい場所もありました。すれ違い用の退避スペースはところどころにありました。
この日はトイレのあるスペースに停めることができました。到着9時頃でほぼ満車。離れた場所にあるスペースにはまだ空きがあるようでした。
紅葉などのシーズン中だと早い時間に満車になるようです。整備されたトイレはありますが、自販機などはありません。
登山開始。
もう紅葉のピークは過ぎてしまったのか、人は少なめ。笠取山はバスや電車の交通の便が悪いので、オフピークは静かな登山を楽しめるようです。
登山道には霜柱がたっていました。
沢沿いを歩いていきます。橋で渡る渡渉が数箇所ありました。
一休坂分岐に到着。登りはヤブ沢ルート、下りでは一休坂ルートを利用しました。どちらも笠取小屋で合流します。
登山道には中間水と呼ばれる湧き水が染み出す場所がありました。
ヤブ沢ルートは開けた樹林帯の沢沿いを歩きます。辺りには水の音が響いていてとても清々しい感じです。
サクサクと落ち葉を踏みながら歩きます。
冬枯れの静けさの中を歩くのも、気持ちの良いものです。
透き通るような水の流れが綺麗。
何度も続く木の橋の渡渉。雨が降った翌日などは大変かもしれません。
枝分かれする谷筋からも水の流れが見えていたので、水が豊富な山なのだと思います。
沢沿いを歩くのが好きなので、ついつい写真が多くなってしまいました。
尾根に上がって歩くようになると次のポイントであるヤブ沢分岐ももうすぐです。
ヤブ沢峠の分岐に来ました。歩き出して1時間20分ほど。ここでひと休みしてもいいですが、笠取小屋まではあと15分くらいです。
ヤブ沢峠から笠取小屋までは整地された坂道。小屋の軽トラも通る道のようです。歩きやすい。
途中、木々の間からは大菩薩嶺(?)が見えていました。写真はありませんが富士山も見えていましたよ。
笠取小屋につきました。なんだか静かでいい雰囲気の場所です。
ベンチ、テーブルがあったので軽食とトイレ休憩。
こちらはバイオトイレ。トイレがあるのはありがたいですね。
雁峠へ寄り道してみる。
雁峠分岐から雁峠へ寄り道します。分岐の近くからは笠取山の山頂部分が見えていました。雁峠までは15分くらい。
笹の茂った坂を降りていきます。足元が隠れてしまうので、枝や段差に注意です。
横には雁峠山荘がありました。今は使用されていないそうです。雁峠山荘再建にあたった小屋番さんが書いた「雁峠だより」という本があるそう。
雁峠に到着です。先客の方は豆を挽いてコーヒーを淹れる準備をしているところ。こんなところで飲む珈琲はきっと美味しいのでしょう。羨ましいです。
少し風の強かった雁峠。とても気持ちの良い場所なので、昼食の場所にしても良さそう。寄り道してよかったです。
小さな分水嶺。
案内板を要約すると、荒川は関東平野を経て東京湾へ。富士川は富士山の西側から太平洋へ。多摩川は奥多摩湖から都民の生活用水として使用されるとのこと。この峰に降った雨が、それぞれ違う表情を持った河川の流れになると書かれていました。
東側は荒川へ、西側は富士川へと流れていきます。
南側に降った雨は多摩川へ。雨の旅のはじまりにロマンを感じます。
笠取山山頂へ急登を登る。
先ほどからチラチラと見えていた山頂部分。明らかに急角度で、可笑しくなってきます。しかしこれから実際に登るとなると、もの凄い不安。本当に登れるのだろうか。
だんだんキツくなってきます。
実際、写真を撮っている余裕は無くなりました。急角度に加えてところどころぬかるんでいて、踏ん張りが効きません。ストックは使った方が良かったのか、収納して手も使って登った方が良かったのかはわかりません。
と、四苦八苦しながら登っているところを若い人や慣れた人が抜かしていったので、うちはまだまだ初心者なんだと思い知らされました……。
なんとか登りきりました・・・。
山頂は広いというほどではありませんが、寛ぐスペースはそれなりにあります。
山頂から見えた富士山。急登を登っているときも見えていました。嬉しいですねー。
カメラも記念撮影。ボディはいつものK-1mkⅡですが、レンズはSMC TAKUMAR 35mm F2というオールドレンズ。
頂上は狭いというほどでもありませんが、広くもありません。怖がりな妻が急登を登り切り感慨に耽っているところ。
先ほど寄り道した雁峠も見えていました。
周囲の景色を堪能したあとは、山頂から水干へ向かいます。
笠取山のピークは2つあって、こちらは東側にあるピーク。地図で確認するとこちらが最高地点のようです。
こちらは少し狭くて眺望も先ほど比べるとイマイチ。でも、富士山はちゃんと見えていました。
山頂から水干尾根分岐までは、岩場の段差があるところを通ります。ちょっとだけハラハラしながらもクリア。焦らず歩けば問題ないと思います。
山頂の尾根道はこんな感じです。
水干尾根分岐です。ここからは歩きやすい道です。
水干、多摩川最初の一滴。
水干が見えてきました。
多摩川の源頭。東京湾まで138km。感慨深いですね。でもここでは水が湧いている様子はありません。湧水として見られるのは60mほど下の場所とのこと。
上の方にある岩には、「水神社」と彫られた扁額のようなものがありました。
見落としそうになった、道標に括り付けられた「多摩川の最初の流れが見られます。」の案内。ヤマレコにはこの場所がないので、しばらく歩くと道はずれの警告が鳴り出しました。
水が湧き出しているところに着きました。
これが多摩川の最初の一滴・・・。
水は集まり谷筋へと流れていきます。
帰り際、水の湧き出る場所を振り返って撮ってみました。
下山します。
最初の一滴を見たあとは、小さな分水嶺を巻道から通り過ぎ、笠取小屋で少しの休憩のあと一休坂ルートで下山します。
笠取小屋から一休坂ルートへ入ると霜柱が溶けずに残っていました。
飛沫が当たるところには、つららが出来ていたりします。
一休坂ルートは樹林帯を歩いていきます。
一部ですが、落ち葉が多くて踏み跡がわからず不明瞭な場所もありました。よく見ていれば問題ありませんが、暗くなるとちょっと不安。
途中にある分岐。わかりやすい道標とベンチがあってひと休みできます。
落ち葉で滑ることもあるので気は抜けません。
一休坂分岐でヤブ沢ルートと合流すると、往路で歩いた道になります。ここまで来れば駐車場まであと少し。沢の音が心地いい。
駐車場へ戻ってきました。残っていた車は数台。時間はギリギリでした。今回は見どころもあり寄り道が多かったですね。気をつけたいところです。
参考書籍。
「分県登山ガイド 山梨県の山」 山と渓谷社。こちらの本では笠取山から、唐松尾山(2109m)を周るルートを掲載してありました。こちらのルートだと歩行距離が16km。自分たちではとても歩けないので、それよりも短くなるよう笠取山だけのルートとしました。
柳沢峠で富士山を。
帰りの柳沢峠(国道411号)にある公共の駐車場から見た富士山。柳沢峠は富士山の撮影スポットとしても有名です。せっかくなので立ち寄ってみました。とても寒くて長居はできませんでしたが、美しい夕景を見ることができました。
撮影機材。
ボディはPENTAX K-1 MarkⅡ、レンズはSMC TAKUMAR 35mm F2。オールドレンズなのでExif情報がありません。なので撮影データは書くのをやめました。写真はRAWデータをキャプチャーワンで調整して書き出し、ブログ掲載用にリサイズしています。
オールドレンズで撮ると登山風景や山の景色が味わい深いものになるように思います。