大岳山は標高1266mの東京都にある山。奥多摩三山の一座。日本二百名山と花の百名山にも選ばれています。途中には鎖場や岩場もありますが、山頂からは山々を越えた先に美しい富士山を望めます。今回は御岳登山鉄道のカーブルカーを利用し、標高831mより大岳山頂へ向かいました。

<目次>
コースタイムなど。
大岳山(おおだけさん・おおたけさん)
標高1266m・東京都
2月1日(土)晴れ [日帰り]
合計時間6時間54分(休憩含む)
歩行距離 11.8km
累計標高差:936m
<コースタイム>
御岳山駅(8:04)→(8:29)長尾平分岐→(8:55)綾広の滝・ロックガーデンへの分岐→(9:20)芥場峠→(9:55)大岳山荘跡→(10:16)大岳山頂(10:57)→(11:29)大岳山荘跡→(12:15)芥場峠→(12:36)綾広の滝→(13:00)ロックガーデン→(13:17)天狗岩→(13:56)長尾平分岐→(14:16)御岳山→(14:54)御岳山駅

難所は大岳山荘手前から大岳山頂までの岩場・鎖場です。注意喚起は少々オーバーな気もしましたが、足を滑らせたりすれば滑落事故につながるので、行動には注意が必要です。岩場では慎重に3点支持で進みました。
高所怖がり的には大岳山頂からの下りに使った巻道は高度感のある道で、結構な怖さがありました。妻的には「巻道のほうが怖かった」とのこと。
天狗岩は登るのは問題ありませんが、降りるのが怖かったです。妻は登りませんでした。
*初級・初心者で怖がりでなければ、岩場・鎖場、下りの巻道、天狗岩もそれほど問題ない場所だと思われます。
初心者の50代夫婦。基本的に日帰り登山です。どちらも高所に弱く怖がり。難所などのクリアには時間がかかります。写真撮影・休憩が多いのでコースタイムは標準よりもかなり遅いと思います。
駐車場とアクセス。
圏央道、日の出ICより約30分で御岳登山鉄道 滝本駅 駐車場に到着。ケーブルカー利用で約6分、御岳山駅(標高831m)からの登山スタートとなります。

駐車場は滝本駅の目の前にある「御岳登山鉄道 滝本駅 駐車場」を利用しました。
御岳登山鉄道 滝本駅 駐車場
- 営業時間:7時10分~19時00分
- 入力したマップコード:23 754 111*08
- 〒198-0174 東京都青梅市御岳2丁目483
近隣にも民間の駐車場がありました。
*ケーブルカーの営業時間は登山当時のものです。詳しくはHP等でご確認ください。
トイレ。

ケーブルカーの滝本駅・御岳山駅のトイレ、ルート上にある奥の院口便所のほか、大岳山荘跡の横にある大岳山園地便所を利用。他にもトイレはあるので、心配するようなことはありませんでした。
大岳山へ。

ケーブルカーで御岳山駅へ。駅前広場周辺の売店はまだオープン前でした。降りたのはほとんどが登山客で、それぞれ準備をすませて出発していきます。
まだ人の少ない道を、歓迎の門を越えて歩いていきます。

歩きはじめてすぐのところから見える日の出山。

宿坊街を通り抜けていくと見えてくる神代ケヤキ。国指定天然記念物です。冬なので葉は一枚もなく、それでも巨樹としての迫力というか威厳のようなものを感じます。

御嶽神社の参道である階段を登り、鳥居と隋神門をくぐります。

ここでは階段を登らず参道から外れ、長尾平・大岳山方向へ。今回の登山の目的は大岳山なので、往路では御嶽神社(御岳山)には立ち寄りません。体力を温存する計画で、下山時にお詣りする予定です。

長尾平を通り過ぎて、歩いていくと天狗の腰掛け杉が見えてきました。ここは奥の院・鍋割山への分岐です。もちろんここも大岳山方向へ。
先行する登山者は奥の院・鍋割山を経由して大岳山へ向かうようです。

朝日の差し込んでくる登山道。空気は冷たいのですが、それがまた気持ちがいいのです。

トイレポイントに来ました。奥の院口便所です。きれいなトイレはありがたいですね。

先は長いのでどんどん進んでいきます。
このあたりは登山道というよりもハイキングコース。トイレもそうですが、道も歩きやすく整備されています。
大岳山の山頂。

綾広の滝・ロックガーデンへの分岐には屋根のある休憩所もありました。
その横から伸びる登山道が大岳山へと続く道。岩場と鎖場、滑落事故多発の文字で注意喚起してきます。ちょっと心配になりますが、それなりに登山を経験してきたので、初心者とはいえ、そろそろ大丈夫でしょう。

登山道の雰囲気も変わり、九十九折りの登りで高度をあげていきます。かなり息が切れました。

芥場峠でサルギ尾根からの道と合流しました。サルギ尾根は養沢神社からはじまる登山道でかなりハードなコースとのこと。4月にはイワウチワの花が見頃になるそうです。

しばらくは緩やかな登山道を歩きます。冬枯れの道は日もあたり、景色も見えるので歩いていて気持ちがいいです。

注意喚起の看板が恐怖心を煽ってきます。とうとう、このあたりから岩場や鎖場などの難所がでてきます。

以前は手すりが無かったというこの場所。あるだけで安心感が違いますね。

岩場や鎖場がずっと続くわけではないので、途中で気持ちを落ち着けます

足を掛ける場所はあるので、3点支持で登ればとくに難しいと感じることはありませんでした。

妻の感想では「鎖よりも手を使うほうが登りやすい」とのこと。ゆっくりですがしっかり登っていきます。

大岳山荘跡に到着しました。開けた場所になっているので少し休憩してここからの登りに備えます。トイレは大岳山荘側にありました。
鳥居をくぐって石段を登ると大嶽神社がすぐに見えてきます。

大嶽神社は秩父地方に多く見られる狼信仰の神社。

祀られている可愛らしいデザインの狛狼さんですが、秩父地方では現存するもっとも古いものとのこと。とてもよく似ている狛狼さんが御前岳の麓にある鑾野御前神社にもあるそうで、そちらのほうが古いとの情報もありました。古さはともかく見に行ってみたいキュートなお姿です。

大嶽神社からつづく登山道。

山頂直下の岩場は両手を使い、しっかりと岩を掴んで登っていきます。とくに怖いという印象はなく、ワクワクする楽しさもありました。

山頂まであと30m!

山頂に到着しました。
混雑しているかと思いましたが、まだ人は少なめ。

大岳山の山頂碑と遠くに富士山。
天気予報では曇りだったので、とても嬉しいです!

富士山が大きく見える山頂ではありませんが、それほど小さいわけでもなく、なんとも味のある富士山が見えました。


周囲の山々がステージのように見える富士山。大岳山からは富士山以外の目立つ山がないのでより神秘的な雰囲気を纏っているようでした。

山頂にあるのは二等三角点です。点名は「大岳山」。なんだか大きく感じるのは気のせいでしょうか。

昼食を食べおわり出発する前に再び山頂を確認すると、結構な数の登山者で賑わっていました。やっぱり人気の山なんですね。
下山します。

下山時に登ってくる人とのすれ違いを避けるために、巻道から下って大岳山荘のある広場へ戻ることにしました。
登山道は山頂の南側にあります。木に赤いテープが巻いてあるのですが、分かりづらいです。

山頂からはしばらくの間、急な下りが続きます。落ち葉もあって滑りやすいので注意が必要でした。この区間には岩場や鎖場はありません。

急降下が終わると大岳山荘側へ向かう巻道への分岐にやってきます。ヤマレコで確認しながら歩くと道標はなく、ピンクテープがあるポイントを見つけました。踏み跡が薄くて不安になりましたが、左へ鋭角に曲がります。
その後、巻道へ入るのですが、そこもイマイチ分かりづらいので、周囲をよく見つつヤマレコで確認しながら歩きました。

巻道は落ち葉が多いものの、一人分の道幅があって歩きやすいです。
しかし、しばらくすると・・・

右側が高度感のある急斜面になってきました。
妻は岩場や鎖場よりも、こういう高度感のある場所にめっぽう弱く「同じ道を下ったほうが良かった」と訴えておりました。

妻だけでなく、自分もかなりの高所怖がりですが、なんとか大丈夫な道でした。
たぶん普通の感覚の人なら「何言ってんだ?」と思われるレベルなので、初心者でも問題なく通れる道だと思います。
*滑落すれば大事に至るので注意してください。

ヘリポートが見えてくれば、トイレのある大岳山荘跡に着きます。

こちらの立派なトイレは、秩父多摩国立公園「大岳山園地便所」になります。

大岳山荘跡と大嶽神社の広場になっているところに戻ってきて休憩です。
このときの温度はだいたい5℃。この日は風がほとんど無かったので快適な山行でした。
ということで、ここからは登ってきた道を戻ります。
ロックガーデンへ寄り道。

あっというまに、綾広の滝・ロックガーデンへの分岐に戻ってきました。少し時間に余裕があったので、ロックガーデンを経由して戻ることにします。

分岐からすぐのところにある綾広の滝。水量は少ないように見えました。

沢に沿って歩くロックガーデン。マイナスイオンを浴びているようです。

いつもなら大勢の人で賑わう東屋のあるトイレスポット。前回来たときは人の多さに辟易しましたが、今回はあまりにも静かです。この日、天気予報では曇り。翌日には雪の予報がでていたのでみなさん出控えたのでしょうか。

人が少ないからか、沢沿いには可愛い鳴き声とともにミソサザイが姿を見せていました。警戒心があまり強くないので、かなり近くで見ることができる鳥ですが、持っていたカメラでは豆粒くらいにしか捉えることができず撮影はあきらめました。
天狗岩へ登る。

しばらく歩いていくと天狗岩にやってきました。
天狗岩は仰向けになった天狗の横顔で、飛び出た岩が鼻の部分になります。天狗に見えますかね? そして鼻の先には天狗さまが立っています。

で、何を思ったか妻が「登ってきたら?」の一言。人が少ないので、落ち着いて登れそうなのは確かです。いや、でも・・・とためらいつつ、天狗見たさの好奇心に負けて登ってみることにしました。*高所怖がり。

ちょっと離れた、天狗岩の上まで見える場所で妻を待たせ、リュックなどをおろして身軽な状態にします。天狗岩には女性や子供も登っているところを見たことがあるので大丈夫だと思いつつ、内心はドキドキです。*高所恐怖症(かなりのビビリです)。

鎖を補助に使いながら露岩部分を登り、木の根の部分はそれほど苦労しなくても登れました。
柵と金網の向こうに天狗さまが立っておられます。よく見るとこちらは鴉天狗。鴉天狗さまの後ろは絶壁になっているので、近寄るのは危険です。柵越しに写真を撮らせていただきました。

足元が不安定なので、カメラ任せでシャッターを切った写真がこちら。こちらも柵越しで撮影。逆光なので、天狗さまが影になってしまいました。心掛けが悪かったのか、信心深さが足りないのかお顔をはっきりとは見せてくれませんでした。

天狗岩の上は思ったよりも広くて、お社もありました。拝見させていただいたお礼も含め、お詣りさせていただきました。

「やばい・・・」と後悔したのが降りるとき。木の根の先の露岩部分が見えません。というか、上から見るとこんなに怖いのか……。ここに来て高所恐怖症のビビりが体をこわばらせます。
他に登山者もいなかったので、本当にゆっくり、ゆっくりと降りました。
たぶん普通の登山者なら問題なく降りられます。初心者の方でも焦らず慎重に降りれば問題ないでしょう。自分はもう登りませんが・・・。

天狗岩のある場所は、長尾平・御嶽神社へ戻るルートと、七代の滝を経由するルートとの分岐になっています。七代の滝へはさらに下るため、長尾平手前でキツい登り返しになるのがわかっていたのでパス。長尾平へと向かうことにします。

この日1番の恐怖を味わったあとは、すたすたと長尾平を通過、御嶽神社へと向かいます
御嶽神社と御岳山。

御嶽神社にて、この日の登山のお礼をしました。

御岳山の山頂柱を記念撮影しておきます。

遥拝所からは御岳山の奥宮(奥の院)が見えていました。
次に登るときは、御嶽神社→奥の院→鍋割山→大岳山のルートでもいいかもしれません。



最後に、御嶽神社の参道階段にいる鬼さん3人を撮らせていただきました。

ケーブルカーの御岳山駅に戻ってきて登山終了です。
おつかれさまでした。
今回は定番ルートを歩いてみました。他にも大岳山へのルートはあるので、試してみてはいかがでしょうか。
撮影機材。

カメラはPENTAX K-3 MarkⅢ、レンズはHD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRを使いました。DA20-40mm Limitedは2倍のズームですが、必要十分な倍率で特に不満に思うことはありません。このレンズは防滴仕様になっているので山などのアウトドアでも気兼ねなく使うことができます。ボディと合わせて比較的、軽量コンパクトなので今回のような登山では運用しやすい組み合わせとなります。