HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro LimitedはAPS-Cセンサーサイズ用のDAレンズですが、周辺減光があるもののフルサイズでも使えると言われています。また、近距離の撮影では周辺減光もなくなり普通に使えるとか。
ということで、実際にHD DA 35mmF2.8 Macro LimitedをK-1mkⅡのフルサイズで撮影してきたのでレビューしてみます。
この記事中の写真は、JPGの撮って出し。トリミングはなしで、ブログ用にリサイズのみしてあります。
JPGのカスタムイメージはナチュラル。レンズには保護フィルターをつけてあります。フードは収納した状態のままで撮影しました。
*「FF」はフルフレーム(フルサイズの画角)を意味しています。
<目次>
フルサイズでは、周辺減光が出てしまう。
絞り開放f/2.8での撮影です。周辺減光が画面端からグラデーションをつけて出ています。
オールドレンズにでもありそうな雰囲気。意図して使うならアリかも。とはいえ、ちょっと強く出過ぎているので、普通に使うには無理があるように思います。
わかりやすく周辺減光というか、ケラレが出てしまいました。
f/16まで絞ったからか、輪郭のはっきりとしたケラレで四隅が黒くなっています。さすがにそのまま使うには無理がありそうです。
ケラレに合わせてある程度トリミングすれば、使えるかと思います。
(保護フィルターをつけたまま撮影しているので、フィルターの枠がケラレている可能性もあります。)
*この記事では、「周辺減光」はグラデーションで周囲が徐々に暗くなっているものとし、四隅に輪郭を持ってはっきりと暗く(黒く)なっているものをケラレと書いています。正しい周辺減光・ケラレの意味とは違うかもしれません。
開放絞りのf/2.8では、周辺減光のほか、フルサイズ領域の不鮮明さも目立ちます。
こういったシュチュエーションでは、意図しない限り開放絞りで撮影することもあまりないでしょう。フルサイズの画角のままで仕上げたいとしても、ある程度は絞った方がよさそうです。
絞りf/11になれば、画像はシャープになってきます。ただし、四隅にはケラレがはっきりと出ています。画像処理のビネットで修正するにしても、ちょっと強く出過ぎていて無理そうです。
フルサイズの画角で、全景を写すような風景写真を撮る場合、f/4かf/5.6あたりで撮るのが良さそうです。
ただし、青空などは周辺減光・ケラレがどうしても目立ってしまうので、その場合はトリミングするしかないと思います。
周辺減光が気にならないとき。
ここからは周辺減光・ケラレがあまり目立たないで撮れた写真です。
HD DA35mmF2.8 Macro LimitedはもともとAPS-C用のレンズですが、これがフルサイズでも使えるなら、とても便利な広角マクロになるわけです。
画面の中で暗くなった部分が多いほど、周辺減光が馴染んでくれるように思えます。
一昔前のフィルムカメラで撮った写真のような感じもしなくもない。粒子感とか加えたらエモい写真になるのかも……。
↑上の写真は普通に使えてるのではないでしょうか。周辺が暗く落ちてるのなんて、むしろ好印象。
保護フィルターを外して撮れば、もっと自然にフルサイズの35mmレンズとして使える可能性もあります。*自分は保護フィルターをつける派です。
四隅を黒くするような画面構成なら問題なし。
・・・当たり前といえばそれまでですが。
近距離ではフルサイズで綺麗に撮れる。
開放絞りでの撮影では背景も綺麗にボケています。HD DA 35mmF2.8 Macro Limitedはマクロレンズなので、近距離でもピントはシャープ。むしろ近距離になればなるほど、本領を発揮します。
感覚的には被写体までの距離が30cm以内であれば、周辺減光はほとんど気にならなくなります。
花の撮影では、フルサイズで積極的に使いたくなる描写です。
フルサイズかAPS-Cかはともかく、マクロ撮影なのでピントを合わせるのが大変です。この写真ではAFで撮影していますが、マニュアルでのピント調整も必要になるときがあります。
HD DA35mmF2.8 Macro Limited は、AFモードでピントリングを回してピント調整ができるQFSが使えるので便利です。
ここまで素敵に撮れるなら、引きの画角で、もう少しでいいから周辺減光を減らせないかと思ってしまいます。
円形絞りを採用しているので、ボケが柔らかく綺麗です。やり過ぎない素直なボケが好印象。絞りはf/2.8~5.6が円形絞りとのこと。
食虫植物をドアップで。ちょっと怖いですかね。
最短撮影距離は0.139m、このときのレンズ先端から被写体までの距離は約3cmとなります。気をつけないと、ぶつけそうになります。
また、光の方向によっては自分やカメラ、レンズの影が被写体にかかるので気を使います。
寄った状態でf/16まで絞ってみました。ここまでの接写だと、f/16まで絞っていても全てにピントがあっているわけではありません。
拡大してみると産毛のようなものまで写っていて、ちょっと驚きます。
周辺減光、ケラレともに、ほとんどありません。
花から少し離れたとしても周辺減光・ケラレはありません。
f/16まで絞ってしまうと面白味は減りますが、画質は安定してきます。
開放絞りと絞った状態を比較。
HD DA35mmF2.8 Macro Limitedはフルサイズの画角で、35mmの広角マクロとして十分使えると思います。ということで、開放絞りとある程度絞った状態を比較してみます。
↓まずはf/2.8。
ISO100 , 1/2500s , f/2.8 , 35mm(FF), JPG
↑次がf/16。
ISO400 , 1/320s , f/16 , 35mm(FF), JPG
自然光で手持ちの撮影なので、厳密な比較にはなりませんが、開放絞りのf/2.8では周辺減光があるように感じます。比較しなければわかない程度なので、背景にかけてのボケ具合など表現として好みの絞り値を選べば良いと思います。
次は、ぐぐぐっと寄ってみます。
↓まずはf/2.8。
ISO100 , 1/3200s , f/2.8 , 35mm(FF), JPG
↑次がf/8。
ISO100 , 1/320s , f/8 , 35mm(FF), JPG
やっぱりこうやって比較すると開放では、周辺減光があるように思えます。
う〜ん、でもどのメーカーのレンズでも、開放絞りには周辺減光がありますから、こんなもんって感じでしょうか。
フルサイズの利用ではJPGでもカメラ内の補正はかからないので、周辺減光があるのは仕方のないところ。気になってしまう場合はDNG(RAW)で現像時に修正すればいいかと思います。
フルサイズで撮影してみた、のまとめ。
遠景の撮影時に出てしまう周辺減光・ケラレをどうするかが考えどころ。トリミングで対処してしまうか、修正することを前提に、絞り値、シチュエーションなどを選べば使えないこともありません。
フルサイズでの35mmレンズには、FA35mmF2もありますので、無理してDA35mm F2.8 Macro Limitedを使わなくてもいいでしょう。
しかし、マクロレンズのlimitedはこのHD DA35mmF2.8 Macro Limitedのみ。フルサイズのK-1とAPS-Cサイズセンサー搭載のボディを持っている場合などは選択肢が広がるので、持っていても損はありません。
周辺減光やケラレなど、あまり気にせずに自由に使ってみるのも、いいのかもしれませんね。テスト撮影のつもりでしたが、とても楽しい撮影になりました。
撮影時につけていた保護フィルターはマルミのEXUSです。