smc PENTAX-A 35mm F2を購入しました。もちろん中古です。「うすクモリあり」との状態でしたが、目視した限りではほとんどわからなかったので、迷わず購入。PENTAX K-1 MarkⅡにつけてマニュアルフォーカスで撮影を楽しんでいます。今回はそのsmc PENTAX-A 35mm F2を簡単にレビューしてみます。
<目次>
手に入れたのは「A」の35mm。
ペンタックスのレンズマウントには色々な種類があります。Sマウント(M42マウント)からバヨネット化されてKマウントになり、レンズ情報接点を追加したのがKAマウント。その対応レンズシリーズとして販売されていたのが、smc PENTAX Aの「A」がつくレンズです。
Kマウントは1975年の発売で対応レンズシリーズはsmc PENTAX Mとsmc PENTAX(PもしくはKと表記されることが多い)。その後、機能を追加しながら今に至ります。
マウントの対応可否については、リコーPENTAXのホームページに詳しい記載があるのでそちらをご覧ください。
マウント別機能対応表 / レンズラインナップ / レンズ / 製品 | RICOH IMAGING
smc PENTAX-A 35mm F2は「KAマウント」のレンズになります。
見た目はP、Mレンズに似ていますが、絞り環に追加された「A」ポジションに設定するとレンズの絞り値をボディ側から制御することができます。これによりシャッタースピード優先AE(Tv)やプログラムAE(P)などでの撮影が可能になりました。
オートフォーカスが無いだけで、現行レンズのように使うことができます。
分かりづらいですが、手前にある丸い部分が情報接点だと思われます。絞り機構は機械式でレバーと保護用のプレートがあります(右手前部分)。
K-1 MarkⅡに装着したところ。
smc PENTAX-A 35mm F2をK-1 MarkⅡに装着してみました。
オールドレンズというにはちょっと早いのかもしれませんが、もう十分に古いレンズです(オールドレンズでいいのかな)。MFのレンズはデザインがいいですね。違和感なくK-1 MarkⅡに装着できます。
塊感があってカッコいい。個人的には多少ボディが大きくてもレンズが小さい方が嬉しいです。
所有してはいませんが、KPあたりにつけて使ってみたい気持ちもあります。K-1のグリップは持ちやすいのでありがたいのですが、グリップのないシンプルなデザインにも似合いそうです。
使用感。
smc PENTAX-A 35mm F2を装着してK-1 MarkⅡのメインスイッチをONにすると焦点距離を求められます。主に手ブレ補正のための設定だと思われます。
これは電源ON時に毎回お求められるのですが、OKを押さなくてもシャッターボタンの半押しでもセレクトされている焦点距離が適用されます。
絞り環にある、緑色の「A」。写真だと分かりづらいですが、ボディのAとXの下あたりにある黒いボタンが絞り環のロックになります。押しながら回すことでAポジションへのロックと解除を行います。
距離目盛「4.5m・15ft」と絞り「8」が赤字なのはスナップマークと呼ばれるもの。
指標に絞りとピントを合わせれば、遠距離から近距離(2~3メートル)までピントが合いパンフォーカスとなります。正確には「ピントがあっているように見える」ことを意味しますが、スナップを撮影するときにピント合わせをせずに撮れるので、シャッターチャンスを逃さずに済みます。
ただ、フィルム時代のものなので、高画素化が進んだ現代のカメラでの撮影や、鑑賞するサイズなどによっては、パンフォーカスとは言い難い写真になるかもしれません。個人的には、デジタルでの撮影でも写真に求める条件によっては有用であると思うので、こういう指標のようなものがあると嬉しいものです。
絞り環を操作しての撮影や、情報接点のないレンズを使用する場合は、メニューから「絞りリングの使用を許可」に設定します(「禁止」ではシャッターが切れない)。
こうしたレンズでは、絞り優先AEでの撮影が可能ですが、Exif情報やファインダー内の表示は「--」になってしまいます。マニュアル露出(M)での撮影ではグリーンボタンを使用しての露出決定も可能です。
とはいえ、Aシリーズのレンズでは「A」ポジションで撮影した方が便利だと思います。
最短撮影距離は0.3m。このぐらい寄ることができれば十分ですね。レンズは少し伸びます。
フィルター径は49mmでPENTAXのレンズでよく使われているサイズ。保護フィルターを着けて撮影しています。
やっぱり見た目。
購入した動機というのが、機能的なことよりもこの見た目。リアルタイム世代というわけではないのですが、フィルム時代を現役で過ごした年齢なので懐かしい感じもあり、馴染みがあると言えばいいのでしょうか。ついつい手に取ってしまったら、連れて帰ってしまいました。
ちょっと頑張ってプラスすれば、現行HD PENTAX-FA 35mmF2の新品も買える値段でした。
作例など。
この記事内の作例とした写真は、撮って出しのjpegをブログ用にリサイズのみしています。トリミングはしていません。
f4で、すっきり精細な描写になってきます。
f8まで絞れば、風景などでは十分に満足のゆく描写だと思います。カリカリではありません。絞り全域で柔らかい感じでしょうか。
f4からf8ぐらいまでが、美味しいところかな。
左上に6角の赤いゴーストが出てます。光によっては、ゴーストやハレーションは出やすいかも。
テーブルフォトも、座ったままで問題なく撮影できます。
こちらの写真と次の花の写真は、カスタムイメージ「Gold」で撮影。黄色味が強いのは、レンズが黄変しているわけではありません。
開放f2での撮影です。ピントのきているところは、シャープというわけではありませんが、ふわふわになりすぎることはありません。
なだらかにボケていく背景が柔くて綺麗です。ボケ味は背景にもよりますが、チリチリすることもあって絞り値の選び方に慣れも必要かと思います。
レンズの状態は、「うすクモリあり」というもの。パッと見ほとんどわからないレベル(というか、全然分からなかった)。また、保護フィルターをつけての撮影なので、ゴーストやハレーションが出るのはそのせいかも。
中古のレンズなので個体差の問題かもしれません。フードが見つかれば、装着して撮影してみたいところです。
HD PENTAX-FA 35mmF2はどうだろう。
見た目に問題なければ現行のHD PENTAX-FA 35mmF2を選ぶのが良いのかもしれません。レンズ構成の違いなど詳しいことはわかりませんが、描写の感じなどはカメラ店などのレビュー記事を見る限りでは、似たような雰囲気のようです。
現行の35mmはコーティングが新しいのでゴーストやハレーションはかなり軽減されていると思います。それにMFは楽しいのですが、やっぱりAFが使えるのは老眼がすすんだおじさんには羨ましいと思えてしまいますね。