HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWの作例とレビューです。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWは高画質を追求したフルサイズ対応の50mm F1.4の大口径単焦点レンズ。大柄で重いレンズですが、優しく美しいボケ味とクリアで抜けの良い描写をあわせ持ちます。
<目次>
50mm F1.4の突き詰めた性能。
50mm F1.4が基本でありスタンダード。写真をはじめたときはそれが当たり前でした。
今ではスマホのカメラで写真をはじめると思うので、24〜28mmあたりの広角がスタンダードになるのでしょう。若い人たちが広角レンズの使い方を自然と身につけているのには驚きます。
そして、50mmレンズは「F1.8」だと違和感があります。そこはやっぱり「F1.4」なんじゃないの、そんなことを思ってしまう世代です。
PENTAX K-1 MarkⅡに装着したHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW。フードを付けなければ、それほど大きいとは思えません。
・・・いや、やっぱり大きいですね。
性能と大きさ(重さ)はトレードオフになるのだなと思います。
フィルム時代のカメラとレンズからすると、だいぶ大柄になったように思います。
今の時代の50mmF1.4というものはこういうものなんでしょう。いや、「最高性能の50mmF1.4」と言っておきます。最高性能の描写がこのレンズにはあると思います。
納得の重さ。
PENTAX K-1 MarkⅡとの組み合わせ。本体にはSDカードやバッテリーを入れ、レンズにはフィルター、フードを付けた状態。ストラップを付けていませんが、実測で1,986gという重さです。
約2kgは重いです。手がぷるぷるします。
気軽にスナップに持ち出すような重量ではありません。
しかし、気軽なスナップでもレベルの高い作品のように感じてしまいます。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW 単体の重さはフード込みで約955g。だいたい1kg。1Lのペットボトル並みの重さです。
ちなみにPENTAXでのレンズというと、
どちらも軽い。でも、あまりにも比較になりません。レンズの目指す方向性が全然違うので、比較するようなものではありませんね。
この性能なら納得だ。と思ったら持ち出すのも苦じゃありません。
最短撮影距離が0.4m。
かつて一眼レフカメラの50mmレンズでは、最短撮影距離は0.45mが標準だったように思います。それがいつの間にか0.4mに。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWは最短撮影距離が0.4m。0.45mとの差0.05m。すなわち5cmというのは、「寄りきれなかったあと一歩が近づけた」そんな感覚です。
少しの違いですが、かなり嬉しいものなのです。
まだまだ最短撮影距離ではなかったように思います。
このレンズでは、寄れなくて困ったということはありません。
マクロレンズのような使い方はできませんが、周囲の様子がわかるように被写体を撮ることができます。小さいものは、小ささがわかる程度まで寄れる。スナップの範囲なら、これで問題ないと思います。
最短撮影距離付近でのボケも優しく綺麗です。
AFとMFの切り替えスイッチが装備されています。
また、クイックシフト・フォーカス・システム (QFS/M)という、AF時にピントリングを回すことで、そのままマニュアルフォーカスに移行できる機能があります。接写時や、ピントを微妙に調節したいときにとても役立ちます。
防塵防滴、重厚な作り。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWは、「AW」、つまり防塵防滴となっています。
PENTAXの一眼レフカメラのラインナップはどれも防塵防滴。このレンズとの組み合わせなら、多少の雨や砂埃が舞うような風など、過酷な環境でも気にせずに撮影できそうです。
趣味の登山では、急な天候の変化などで防塵防滴があると助かることもあります。
ただ、この重量級のレンズを登山に持っていこうとはなかなか思わないのが本音です。
都内の緑の多い公園や、車移動で訪れた名所などに持っていくことが多いです。
その重厚な作りは、まるで武器のようです。
PENTAXの★スターレンズ全体に言えることですが、手に伝わってくる質量が重い。ガラスの塊が配置された鏡筒の、決して歪むことのないような堅牢さを感じ取ることができます。
なんでもない景色が特別なもののように写せるのは、描写の良いレンズだからなのだと思います。
F1.4が作りだすボケ味。
F1.4のボケが綺麗なのは、このレンズでは当たり前です。
開放F1.4の柔らかく溶けていくような描写は、そのままF4やF5.6、F8でも続き、品の良さをうかがわせます。
HD PENTAX-D FA ★50mmF1.4 SDM AW は、素晴らしい解像力を持っていますが、絞り全体を通して、優しく柔らかな描写でもあります。
自分の写真が上手くなったように感じるのには困ってしまいます。
F1.4はもちろん、どの絞りでもその描写は美しく、繊細で優しい。
見た目の無骨さからはもっと硬い描写かと思っていましたが、これは嬉しい誤算でした。
レンズフードとフィルター。
フードは花形の大きなものが付属しています。フィルター操作用の窓もあります。
フィルター径は72mm。
フィルターのみ装着。
フードも装着。付属の花形フードは上下部分が長く、遮光性能は高そうです。
ただ、持ち運び時にぶつけてしまいそうで心配になります。角の部分が気になるので、円形のものに変えて使っています。
Kenkoのレンズフード(LMH72-77)をフィルターの上に装着。見た目ではケラレはないようでしたが、光量は低下している可能性もあります。
Kenkoのレンズフードはシンプルな筒型。もうちょっと色気が欲しいと思い探したのがこちらです。UNのフード、UNX-5367 メタルフード 72mm ブラック。先端部分には82mmのレンズキャップが取り付けられます。口径が大きくなるので、光量低下も防げるかもしれません。
ケラレ、光量低下とも、ちゃんとチェックしたわけではないので、参考までにしてください。
まとめ。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWの主な仕様。
- 焦点距離 50mm(APS-Cボディでは76.5mm相当)
- 絞り羽根枚数 9枚
- 開放絞り F1.4
- 円形絞り F1.4〜F2.8
- 最小絞り F16
- 最短撮影距離 0.4m
- 最大撮影倍率 0.18倍
- フィルター径 72mm
- サイズ 約80mm(最大径)×106mm(長さ)
- 重量 約910g (フード付:約955g)
- 防塵防滴構造
- クイックシフト・フォーカス・システム (QFS/M)
- KAF4マウント 電磁絞りを採用。AFカプラーはありません。対応カメラボディはリコーのHP等でご確認ください。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWを使って。
スッと合います。ピントが。たぶんPENTAXを使っている人でしたらわかると思います。AFがジーとかジャー、ギュって言いません。
快適なAFなのは良いのですが、大きく重いのでどうしても撮影に持ち出す回数は少なくなります。でもこの描写はクセになるというか、見れば見るほど高性能レンズの凄さというものを認識せずにはいられなくなります。
知ってしまうと手放せなくなるレンズです。
この記事内のHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWで撮影した風景の写真はPENTAX K-1 MarkⅡに装着して撮影しています。
jpegは撮って出し、DNGはCaptureOne21にて調整書き出ししています。どちらもブログ用にリサイズしています。トリミングはしておりません。
さて、このレンズで何を撮りましょうか。
山に、ハイキングに持ち出してみました。