K-1用のお気に入りレンズ、標準単焦点のCOSINA Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKのことを書いてみます。
ペンタックスKマウント用の50mm標準レンズ。Planar T*1.4/50は設計をカールツアイスが担当し、コシナが製造していたレンズです。50mmの標準単焦点で、開放絞りがf1.4と大口径。ピント合わせはマニュアルフォーカス。球面レンズのみのレンズ構成で素直なボケ味。絞り値によって変化する描写で絵作りを楽しめるレンズです。
<目次>
- Planar T*1.4/50の基本スペック。
- K-1 MarkⅡに装着したときの携帯性など。
- Planar T*1.4/50の使用感など。
- Planar T*1.4/50で撮影してみた。
- ピント位置を拡大してみた。
- Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKには大満足。
Planar T*1.4/50の基本スペック。
簡単にPlanar T*1.4/50のスペックを書いてみます。
Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZK
- 焦点距離:50mm
- 絞り:f/1.4 〜 f/16
- 絞り羽:9枚、円形に近い。
- 最短撮影距離:0.45m
- フィルター径:58mm
50mmのお手本のようなレンズ。世代的には「これこれ」と思うようなスペックです。写真をはじめた頃にはもちろんAFのレンズはあったものの、MFでも十分だと思っていました(昨今のような高性能なAFではなかったので)。50mmで最短45cmというのも、同世代に発売されたどこのメーカーのレンズもこんなものだったように思います。
開放f/1.4では甘い描写ですが、f4〜5.6あたりから被写体が浮き出すような描写。使い方によっては、それほど「甘い」とは思わず、ポートレートや花の写真に向く描写と言えるのではないでしょうか。
Planar T*1.4/50では、「甘い」などデメリットになるような描写でも、味に思えてしまうから不思議です。個人的にはこの甘さがとても好き。「Carl Zeiss の Planar」という心理的なバイアスがかかっていたとしても、どこか惹きつけられるものがあるのだと思います。
そして、何よりレンズ自体がカッコいい。所有欲が満たされます。K-1に装着すれば、大き過ぎず塊感のあるスタイルで、持ったときのバランスも良好です。
K-1 MarkⅡに装着したときの携帯性など。
とにかくカッコいい(2回目)。見た目の感想には個人差があるとは思いますが・・・。
K-1はフィルムカメラのように薄いボディではありませんが、デジタル一眼レフとしての凝縮されたカッコ良さがあります。
Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKの実測重量です。リアキャップ、フード、保護フィルターを装着しての重量は396gでした。
ちなみにHD PENTAX-FA 50mmF1.4では、約223g(カタログ値)。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWでは約955g(カタログ値)。
DAではありますがフルサイズでも使えるsmc PENTAX-DA★55mmF1.4 SDMだと375g(カタログ値)でPlanar T*1.4/50と似たような重さになります。
金属製の鏡筒が見た目にも質量を感じさせますが、重すぎるということはなく、むしろ適度な存在感を醸し出していると言えます。
PENTAX K-1 MarkⅡに装着したCarl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKの実測重量は1431g。
1kgを超えてしまっています。K-1は、ストラップ、バッテリー、SDカードと実際に撮影に出かけるときの装備。首からかけているとズッシリと重さを感じます。カメラを持っているという満足感のようなものはあるのですが、「重いな」というのが本音。重さの原因はカメラなんですけどね。ストラップは純正のもので、長めに調整して襷掛けにして移動していることが多いです。
Planar T*1.4/50の使用感など。
金属製のフードの内側にはフェルトのような黒地の無反射素材が貼られています。反射を抑えるための工夫なのでしょうが、繊維などのゴミがつきやすい。これは、こまめに取るようしています。
フィルター径は58mmで、DA★55mmF1.4やFA 31mmF1.8 Limited、DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLMなどと共通のサイズ。
本来の性能を求めるのであれば、保護フィルターは使わない方がいいのでしょうが、そこは精神的に安心できるので着けてます。
Planar T*1.4/5を装着した状態でボディの電源を入れると焦点距離の入力を求められます。前回の電源ON時の値を記憶しているので、なんらかの操作をするとそのままの焦点距離が引き継がれるので、それほど面倒ではありません。
絞りリングをAの位置に合わせておけばボディ側から絞りをコントロールできます。絞りは連動レバーによる機械式です。
ちなみにExifには撮影時の絞り値が記録されているので、現像ソフトなどで確認できます。
ピントリングの操作感は良好。個体差もあるとは思いますが、重過ぎず軽過ぎずスムーズに回り、止めたいところで止まります。回転角は223度(カタログ値)で最短から無限まで「ちょうどいい」。MFのレンズはこうあるべきと思えます。無駄にいろんなところにピントを合わせたくなります。
距離目盛や絞り値などの刻印、ローレットのギザギザなども、気持ちの良い作りで見ていて飽きません。
ただ、乱視の入った老眼では、いくら明るいF1.4のファインダーでも、ピント合わせは辛いもの。K-1のフォーカスアシストを使ってピント合わせをしていますが、精度はそれなり。ピントの浅い開放近辺の絞りを使うときには慎重にならざるをえません。
また、動きのあるものや、瞬間を撮影したいようなスナップでは、やはりAFが羨ましく思えます。
Planar T*1.4/50で撮影してみた。
Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKとPENTAX K-1 MarkⅡの組み合わせで撮影してきたスナップをアップしていきます。
ISO100 , 1/250s , f/1.4 , RAW
ベンチの背もたれにピントを合わせて開放f1.4で撮影。使いはじめは開放f1.4ばっかりで撮っていました。とにかくボケが気持ちいい。拡大すると甘さや解像力が不足しているように見えるのですが、写真をパッと見たときの、なんとも言えない雰囲気が好みです。
ISO320 , 1/320s , f/5.6 , RAW
池に張り出している木の葉にピントを合わせ、f/5.6で撮影。パンフォーカスにはならず、対岸はボケています。f/5.6くらいに絞ると繊細な描写でシャープに像を結び、立体感を感じられます。
ISO160 , 1/500s , f/2.8 , RAW
このレンズ、撮った写真をアンダーに仕上げたくなります。彩度も少し低くくしてアンニュイな雰囲気に。だんだんと自己満足な世界になってきました。
ISO320 , 1/6500s , f/1.4 , RAW
こちらは開放f1.4で、最短撮影距離付近で撮影。ピント面の描写はフワフワです。フレアが強くでます。近接の撮影で気になるようなら、ある程度絞って撮影した方がいいと思いますが、この独特な描写のボケ感はこのレンズの特徴でもあります。SNSやブログ、スマフォの画面などでは、ネガティブな部分はあまり目立たないので、好みで使い分けていきたいところ。
ISO100 , 1/200s , f/2 , RAW
1段絞ってf/2で撮影。描写は少し安定しますが、シャープとは言いづらいところ。解像力よりも雰囲気推しで撮っています。
ISO100 , 1/100s , f/5.6 , RAW
撮り続けているうちに、f/5.6あたりの描写が好きになってきます。曖昧な表現ばかりですが、Planar T*1.4/50 で撮ると「なんだか気になる写真」になるように思えます。
ISO100 , 1/100s , f/1.4 , RAW
でもやっぱり、開放での描写も好き。
ISO100 , 1/2500s , f/5.6 , RAW
このレンズだけを持って旅に出たくなります。彩度を下げてセンチメンタルジャーニー風にしても良いですね。白黒でバックパッカーみたいな旅もいいかも。フィルムを使っていた時代を思い出します。
Planar T*1.4/50で撮影している写真は、RAWから調整・書き出ししています。現像ソフトはCaptureOne21。ブログ用にリサイズしています。トリミングはなしです。
ISO100 , 1/1000s , f/1.4 , RAW
RAWから画像を調整していますが、レンズの描写自体はコントラストが高く、こってりとした色乗りだと感じます。なだらかなボケと開放付近では周辺減光も強くあります。
ISO100 , 1/4000s , f/5.6 , RAW
逆光では、T*コーティングのおかげなのか、ゴーストやフレアなどはあまりでないようで気になりません。f/5.6を超えて絞り込むとピントは深くなるものの、ピント位置が立ち上がるってくるような感じが薄れてしまうように思えます。
ピント位置を拡大してみた。
ISO400 , 1/200s , f/5.6 , RAW
ほぼ最短撮影距離で撮影した花の写真です。絞りはf/5.6。拡大した画像でピントがしっかりきているのがわかります。ただ、絞りはもう少し開けた方が、惹きつけられるようなボケの描写が味わえます。このあたりは個人の好みの問題もありますね。
ISO400 , 1/3200s , f/4 , RAW
こちらの写真では絞りはf/4。産毛のようなものもしっかりと描写されています。ただ気になるのは玉ボケ。拡大画像の花びらの横の玉ボケが、角ばっているうえに輪郭線のようなものが出てしまっています。この写真のように水滴などで玉ボケがでる場合は、絞りをもっと開けてf/2前後で撮影した方が良さそうです。
Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKには大満足。
本当はHD PENTAX-FA 50mmF1.4を新品で購入するか、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWの中古を購入するかで迷っていました。店頭で判断しようと思い、カメラ屋さんに伺うと、ショーケース内にあったCarl Zeiss Planar T*1.4/50 ZKを発見。迷った挙句Planar T*1.4/50を購入しました。正直に書いてしまうと描写云々よりも、K-1に装着したときのカッコよさが一番の選択理由です。Zeissというブランドも世代的に憧れ。なかなかKマウントのPlanar T*1.4/50というのも見ないので、衝動買いに近い買い物となりました。
・・・結果、もちろんその描写には大満足。他の2本のレンズも気になりますが、しばらくはPlanar T*1.4/50がつけっぱなしになりそうです。
このレンズもオールドレンズになるのでしょうか。こちらの本ではヤシカコンタックス用のPlanar 50mm f1.4ではありますが紹介されています。いろいろなレンズが載っているので、読んでいると他にも欲しくなるレンズがたくさんあります。