ZEISS Loxia 2.8/21を中古で購入しました。
21mmといえば超広角の始まりといった焦点距離です。狭い場所、引きが取れないところでも広く写せる広角ということで、どこか絵になる室内を撮影してみたいと思っていました。
そんなとき、東京都庭園美術館の建物公開「艶めくアール・デコの色彩」展が開かれているということで、ZEISS Loxia 2.8/21をSONY α7Ⅱにつけて撮影に行ってきました。
目次
- アール・デコ建築で有名な東京都庭園美術館。
- 入館してすぐにある大広間の天井の照明。
- 庭園美術館といえば、この香水塔。
- 大客室と呼ばれる応接スペース。
- 情景再現が見どころの大食堂。
- 壁や扉の装飾に寄って撮影してみました。
- 装飾と光が綺麗な、第一階段を撮ってみる。
- 書斎など、その他の部屋。
- 姫宮のお部屋です。
- 新館へつながる通路で人物のバックショットを撮る。
- 豹のブロンズ像をモノクロにしてみる。
- フラットな光の樹々を撮ってみた。
- ZEISS Loxia 2.8/21について。
- 東京都庭園美術館へのリンクとアクセス。
アール・デコ建築で有名な東京都庭園美術館。
東京都庭園美術館は、アール・デコ博とも言われたパリ万博を観覧した朝香宮殿下によって、昭和8年(1933年)に建てられました。
現存する代表的なアール・デコ建築で、2015年に国の重要文化財に指定されています。
建物公開展は、旧朝香宮邸である東京都庭園美術館が、年に一度開催している「庭園美術館」自体を見学できる展覧会で、撮影もOKです。
入館してすぐにある大広間の天井の照明。
フランスのデザイナー、アンリ・ラパンが大広間の室内設計を担当しています。
天井一面に配置された照明が目を引きます。
広角21mmなら全てをフレームの中に収めることができます。f5.6ですが手前から奥までピントが来ていますね。パンフォーカスを狙うならf8ぐらいまで絞った方が安心ですが、f5.6大丈夫でした。
庭園美術館といえば、この香水塔。
お客様をもてなすために、照明部に香水を施して香りを漂わせていたそうです。
黒い部分はコンクリートに漆。
人造大理石の壁は朱色。
アール・デコの色彩が華やかですね。
広角レンズでは問題となる湾曲収差はどうなのか、室内での撮影でみてみます。
RAWデータで見ると湾曲はやや樽型。素直な感じの湾曲なので、CaptureOne21の現像で簡単に補正できます。
もちろんjpegの撮って出しでは縦横もきれいに補正されてます。
撮影するときは被写体にまっすぐにカメラを構えれば、ほとんど歪みを感じさせません。
しかもf2.8の開放。太すぎず細すぎない、程よい線の出方だと思います。
美術館なので手持ちの撮影ですが、ファインダーを覗きながらも、水平垂直は出しやすいと感じました。
三脚と水準器を使えばさらに追い込むこともできると思います。
大客室と呼ばれる応接スペース。
天井にある、ルネ・ラリック作のシャンデリアを撮影してみました。
シャンデリア単体からは距離があるため、画面の中では大きく写りません。しかし、拡大すれば十分にディテールを再現しており、もっと高画素機を使えばクロップ撮影で寄った写真にすることも問題ないでしょう。
解像力には余裕があるので、更なる高画素機が発売されても十分に対応できるレンズだと思います。
情景再現が見どころの大食堂。
情景再現は今回の建物公開の見どころで、それぞれの部屋にセッティングされています。
朝香宮殿下がお好きだったと言われるミモザの花が飾ってありました。
南側の円形に張り出した窓から入る光。
カーテンと大理石の橙色。
部屋の構造や光の入り方、セッティングなど、この部屋は写欲をかき立てます。
他のお客さんがスマホでパシャパシャと撮影していたので、僕も紛れてシャッターを切っていました。
Loxia 2.8/21はコンパクトなので、変に目立たず、周囲の雰囲気に馴染めるのは、中年男性になるとありがたいものです。
レンズは全長72mm、最大直径62mmとコンパクト。
SONYのα7Ⅱも小柄なカメラだと思うので気も楽です。
色のりが良いだけでなく、階調表現が豊なレンズだと思うので積極的にモノクロにもしてみたくなります。
癖のない描写なので、コントラストの高いモノクロ写真にでも、グラデーション重視のモノクロ写真にでも、好みに合わせて対応できる適応力があるように思います。
壁や扉の装飾に寄って撮影してみました。
このくらいの距離だとf5.6やf8では奥までピンとがきません。他のカットもそうですが、21mmだからといって、無条件に被写界深度が深いわけではないので、絞り値のコントロールは適宜考えながら撮影するのがいいでしょう。
(もちろん、ストリートスナップのようにf値とピント位置を決めて、被写界深度を活かした速写する撮影もできます。)
装飾と光が綺麗な、第一階段を撮ってみる。
第一階段を下から撮ってみます。
パターン化された花の模様と配置の綺麗な幾何学模様。
素材の組み合わせからもアール・デコを感じさせる階段ですね。
光の入りかたも写欲を高めてきます。
第一階段を上から照明を入れて撮ってみる。
カメラのアングルを悩んだカット。
広角だからといって、水平、垂直を合わせ、正面から撮るばかりでは、すぐに飽きてしまいます。
正面を外すことによって生じるパースの変化を、どう使って表現するか、そんなことを考えながら撮るのも楽しいですね。
ZEISS Loxia 2.8/21は湾曲収差を綺麗に抑えているので、とても素直にアングルを探せます。
素の状態でも問題ないですが、レンズプロファイルを使った状態では歪みはないに等しいです。
ファインダーに表示させた格子線で水平、垂直をとることもできますが、こうした少しアングルを振った場合は、逆に惑わされて傾いていることもしばしばあるので注意が必要です。
書斎など、その他の部屋。
アンリ・ラパンが設計した書斎。
フランスから輸入した家具などが置かれています。
円形の壁。真っ直ぐな柱。
このカットもですが、今回、撮影した画像を見てZEISS Loxia 2.8/21の描写に満足しています。
スペック的に地味なLoxiaですが、買ってよかったと思いました。
レンズよりも撮る側の技術が求められる気がしてきました。水平を取れたと思っていたのですが、アングルが少し高いかもですね。
姫宮のお部屋です。
手前の椅子の背もたれにピントを合わせましたが、f2.8ではさすがに奥のほうはボケています。
f5.6かf8くらいに絞りたいですが、開放f2.8から十分な描写力を発揮しています。開放では、周辺減光はそれなりにありますね。
新館へつながる通路で人物のバックショットを撮る。
人(妻です。)の歩いているところを、サッと撮りました。
マニュアルフォーカスですがピントは合わせやすく、撮りやすいです。(もちろん早い動きにはついていけませんが。)
フォーカスのトルク感は、軽すぎず重すぎない。もう少し粘りがあってもいいかと思いますが、そうなると、素早いピント合わせがやりづらくなってしまいます。回転角度は90度で、使いやすいです。
豹のブロンズ像をモノクロにしてみる。
豹のブロンズ像が小雨に濡れていました。
雨がパラついていたので、水滴が豹についていました。
その水滴は、一つ一つが繊細に描写されています。
背景のボケかたにクセはありません。
開放がf2.8ではそれほど大きくボケることはないですが、被写体を自然な感じに浮き立たせるには十分です。
フラットな光の樹々を撮ってみた。
庭園美術館の庭です。
小雨が降っていたので、ちょっと様子をみて屋根のある場所に戻りました。広いところでしたので、晴れた日にゆっくり散歩してみたいです。
四隅までしっかりと解像して、緑の葉を美しく描写しています。
ZEISS Loxia 2.8/21について。
単焦点、21mmの広角レンズでマニュアルフォーカス。
電気接点があるので、f値などのEXIF情報などは記録されます。
全長72mm、最大直径62mmでフィルター径は52mm。
最短撮影距離は0.25m。
絞り羽は10枚。
APS-Cカメラに装着すると、フルサイズ換算で31.5mm。
今回、α7ⅡにLoxia 2.8/21(単体での重さは394g)をつけた実際の合計重量は、1064gでした。一日首から下げて歩くにはギリギリ大丈夫といったところです。
カメラにつけても、コンパクトなサイズですね。
スペック的には地味ではありますが、散歩カメラとしては納得な数値と十分すぎる描写性能で、これから活躍してくれそうです。
普通に考えれば、SONY純正のSEL20F18Gの方が良いでしょう。
でも、このレンズ、電源OFFだとレンズ内のユニットが動きます。
それが、どうにも気になってしまいました。
それだけです。。。
描写もいいと思います。好みの違いで僕はLoxia 2.8/21にしました。
東京都庭園美術館へのリンクとアクセス。
次回の建物公開展の予定はまだ未定のようですが、来年も楽しみです。
東京都庭園美術館には駐車場がありますが、台数は少なめで有料です。
JR山手線、目黒駅から徒歩で約10分。