野鳥撮影にハマっています。
これまでは、手持ちの中で一番焦点距離の長いレンズ、AI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-EDを使っていました。
でも、このレンズ「望遠」というより、本来はマクロレンズ。
焦点距離も200mmでは短すぎて、被写体の鳥が小さくしか写せませんでした。
どうにも我慢できず、野鳥撮影用に望遠レンズを購入することにしました。
*使っていて思ったことなど、随時追記しています。
<目次>
- 野鳥撮影用に購入したレンズは、ニコンAFS 200-500mm。
- テレコンバーターTC-14E IIも同時に購入。
- AFS 200-500の基本的なスペック。
- 東京港野鳥公園でカワセミを撮影。
- 最短撮影距離付近での撮影。
- まとめ。AFS 200-500の描写について。
野鳥撮影用に購入したレンズは、ニコンAFS 200-500mm。
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRを野鳥撮影用に購入です。
ニコンFマウントで選びました。
今までの経験から、フルサイズのカメラで焦点距離200mmは短すぎました。
とくに撮影したいのは、カワセミやルリビタキ、ジョウビタキなど、スズメサイズの小鳥たちです。
これらの被写体では、テレ側(望遠側)が300mmや400mmでは足りないことが予想されます。
野鳥撮影では、焦点距離はとにかく長い方がいいと思います。
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRの焦点距離は、
- FX(フルサイズ)で200mm〜500mm。
- DX(APS-C)サイズでは、300mm〜750mm相当。
になります。
野鳥の撮影でAPS-Cやマイクロフォーサーズなどのセンサーを搭載したカメラの使用率が多いのは、焦点距離を稼ぎやすいというのが理由の一つだと思います。また、センサーサイズは小さいほど、装備の重さを軽くできるというメリットもあります。
熟考の結果、信頼、安定のニコン純正のレンズ、望遠ズームのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRを選びました。
テレコンバーターTC-14E IIも同時に購入。
現在所有のニコンのカメラは、D810とD810AでFX(フルサイズ)となります。
野鳥撮影で500mmでは焦点距離が足りない気がします。
そこで、テレコンバーターのTC-14E IIも同時に購入しました。
TC-14E IIを使用すると、焦点距離が1.4倍されます。
- FX(フルサイズ)で280mm〜700mm。
- DX(APS-C)サイズで420mm〜1050mm相当。
となります。
DXでの使用なら、最長で1050mmにも達します。これなら十分でしょう。
デメリットとしては、露出が1段暗くなります。
また個人的にはそれほど気になりませんが、画質が低下します。
デメリットとメリットなどテレコンを使う場合は、マスターレンズの性能にも利便性が影響しますので、実際にテストするのがいいように思います。デメリットの方が気になる場合はテレコンではなく、トリミングで調整するなどした方がいいでしょう。
余裕があればTC-14EのⅢ型の方が欲しかった。
TC-14E Ⅲは、各収差のトータルバランス向上のための改良をしています。特に新しいレンズとの組合せを考慮した最適化を図っているそうです。Gタイプ、Eタイプ専用になります。Ⅲ型は2014年に発売しているので、それ以降に発売されたレンズはⅢ型のほうが良いと思われます。AFS200-500は2015年の発売。
AF-S(Dタイプ)、AF-Iのレンズでは使えそうです。
予算が無かったというのもありますが、レンズ、テレコンともに中古での購入です。
追記:結局TC-14E Ⅲに買い替えました。理由は少しでも画質をよくしたいということです。また300mmf4PFも購入したので、相性の良さを考えました。使ってみるとなんとなくAFの速度や精度、画質の向上などが体感として感じられました。
AFS 200-500の基本的なスペック。
AFS200-500は大きくて重い。
カタログ寸法は、最大径は約108mm。レンズマウントからレンズ先端までで、267.5mm。
カタログ重量(質量)は、三脚座ありで約2.3kg。
フードをつけて実際の大きさを見てみる。
フードの先端からボディのアイピースまでをメジャーで測ってみました。
多少の誤差はありますが、だいたいの大きさがわかると思います。
AFS200-500とD810Aとの組合せで、ズームなし(200mm)の場合、約42.3cmでした。
AFS200-500とD810Aとの組合せで、500mmにズームすると、約50.2cm。(写真を撮り忘れました。すみません。)
AFS200-500とTC-14E IIにD810Aでは、ズームなし(200mm)の場合、約45.1cm。
AFS200-500とTC-14E IIにD810Aで、500mmにズームでは約52.9cm。
比較するものを一緒に置いて撮影するべきでしたが、かなり太くて長いです。
、、、大きいです。
使うときの重さを実測してみる。
AFS200-500とD810Aとの組合せを実際に使う状態で計量しました。
SDカード、CFカード、バッテリー、ストラップ、レンズフィルター、レンズキャップを装着した状態で、TC-14E IIの有無の重さを調べます。
AFS200-500とD810Aのみで、使用時の重量は3528g。約3.5kg。
TC-14E IIを装着した場合は、3727g。約3.7kg。
持ったときのバランスは悪くないです。もう少しボディ側に重心がきた方がいいかもしれませんが、重いことには変わりありません。
高い位置にいる被写体に対して、長い時間、手持ちでレンズを持ち続けるのは大変です。
1日持って歩くと、さすがに疲れます。
ストラップがボディ側についているので、あまりブラブラさせるのも気が引け、手で持っていることの方が多いです。地味に腕力が必要で、レンズを抱っこして移動しています。
追記:キャリースピードのストラップを使っています。両手を自由に使えるようになりたいのと、Z6IIで使うと、FTZ、テレコンと接合部が多くなるのでレンズ側で支持したストラップが良いと判断しました。
ちゃんと装着する手間はありますが、長い時間の撮影では疲労度が全然異なります。とてもラクです。手持ち撮影メインの使い方をするなら、襷掛け、レンズ側に装着のストラップの方がいいと思います。両手を離しても安心できるのがありがたいです。
ちなみに、レンズ側に装着するプレートはアルカスイス規格なので、三脚や一脚を使用する場合も便利だと思います。
フィルター径は95mm。
フィルター径は95mmと大きいです。
このサイズのフィルターは高額になります。このレンズを購入するにあたり、フィルター代を考えていなかったので思わぬ出費になりました。
フードが深いのでフィルターの必要はないかと思いますが、何かあると怖いのでやっぱり着けてます。
こちらを使ってます。
AFS200-500の絞りについて。
絞りは開放F5.6、最小絞りはF32。
ズーム全域でF5.6。テレ側でもF5.6なので1.4倍のテレコンを使っても、F8でのAFが可能になります。
補足:F8対応のセンサー搭載の一眼レフ機の場合。またZマウントのミラーレスならF8以上でも作動します。Z7ではさすがに実用とは言えませんが、Z6Ⅱでは静止している被写体なら実用だと思います。
絞り羽は9枚で円形絞り。
電磁絞りにより、高速連写時の露出が安定します。
機械式の絞りレバーがないのは、ちょっと寂しいですね。
AFS200-500の操作関係。
ピントリングは、ズームリングよりボディ側にあり、軽めです。
「M/A」モードはオートフォーカス中でもフォーカスリングを動かせば、瞬時にマニュアルによるピント合わせを優先するモードです。
AFが迷ったときには、マニュアルフォーカスでピントを合わせます。
レンズを支えながらのフォーカスになるので、指2本で動かせる軽さは便利です。
フォーカス制限は、「FULL」の無限遠〜2.2m。と「無限遠〜6m」の2パターンの切り換え式。
通常は「無限遠〜6m」にセットしています。
AFS200-500のオートフォーカスは遅くはないものの、爆速ではないので、制限をしていた方が早くピントが合います。また迷いづらくもなります。
手ブレ補正は「NORMAL」「SPORT」と2モード。
「NORMAL」では、シャッター毎にセンタリングをおこなうので、フレーミングがズレることがあります。反動の大きなライフルを撃ったような感覚(撃ったことないけど)で、ひどい場合は被写体を見失います。このレンズを使いはじめたときには驚きましたが、慣れればとくに問題はありません。
「SPORT」では、手ブレ補正の効きが落ちるものの、シャッター毎のセンタリングをおこなわないので、フレーミングがズレません。飛翔中の鳥を追いかけているときには、SPORTモードを使うようにしています。
追記:切り替えの操作に慣れた方がいいでしょう。飛びもの留まりもの両方を撮影する場合、すぐに切り替えられないと混乱します。特に「NORMAL」状態で飛び出してからの鳥を追いかけようとすると、センタリングで見失うことが多いです。
ズームロック。
ロックをかけないで傾けていると、自重でテレ側に伸びてしまいます。
移動中はズームを200mmでロックしておけるので、不用意にレンズが伸びてしまうことを防げます。
上向きにレンズを向けると、逆にズームが短くなってきます。この場合、ズームリングを押さえておく必要があるので、500mm側でもロックできるようにして欲しいと思いました。
東京港野鳥公園でカワセミを撮影。
D810A + TC-14E II + AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRの組み合わせで、カワセミを撮影できました。
データは、ISO 4000 , 1/800s , f/9 , 700mm。
絞りがf/9ですが、開放から1/3絞りです。TC-14E IIを使うと露出倍数の1段が加算された合成F値が表示されます。また、開放の場合はf/5.6ではなく、f/8と表示されます。
TC-14E IIを使用しているので、焦点距離は700mmになります。
さらに撮影範囲を1.2×(6144×4080)にしています。これにより、計算上の焦点距離は840mmとなります。
もう少し大きく写したい気もしますが、周囲の状況やカワセミの大きさもわかるので、このくらいでも満足できました。
この写真は東京港野鳥公園の4号観察小屋から撮影しています。
僕がここでカワセミを見たのは初めてです。過去には3号観察小屋からカワセミを撮影しましたが、距離がかなりあり、写したカワセミも画面の中で本当に小さなものでした。
ちなみに、AFは残念ながら、そこまで速くはありません。
この状況ではヨシ原の中のため、何度か手前や奥にピントが迷いました。
木々が茂っている森の中など、暗めの状況や、TC-14E IIを装着しているときには迷いやすいと感じています。状況により、ピント調整をマニュアルで行うこともあります。
ニコン NX StudioでRAWデータを確認する。
カワセミがどのくらい解像しているか確認です。
ISO4000での撮影では、拡大するとノイズが多く、被写体のディテールを一部壊してしまっています。
羽毛の毛一本一本を視認するのは難しいですね。
シャッタースピードを遅くしてISOを下げたいところですが、今度は被写体ブレを起こしそうで躊躇してしまいます。
しかし通常撮影した写真をここまで拡大することもそうそうないと思います。しばらくは野鳥撮影におけるシャッタースピードと、カメラの増感特性を探っていくことになります。
最短撮影距離付近での撮影。
カタログ値では、
最短撮影距離は2.2m、最大撮影倍率は0.22倍。
となっています。
特に最短撮影距離を意識して撮ってみました。
なるべく良い設定になるように、最短撮影付近で撮りました。
逆光ギミですが、とてもよく解像しており、元データでは、カマキリの触覚が片方なくなっているのがわかります。
手ブレ補正もよく効いていて、ファインダーの画像も揺れなく構図を決められました。
テレ側の500mmでここまで寄れれば使いやすいと思います。
追記:200-500mmf5.6は開放から1段絞ると解像感がよくなります。条件にもよりますが、できるなら少し絞った状態で使いたいと思うようになりました。
こちらの花はなかなかの悪条件です。
ISOを上げ、TC-14E IIを使っています。そしてDXサイズで撮影。
強い反逆光での近接撮影です。
花びらの輪郭が甘くなっています。全体にモアっとしてるかも。
この状態ならTC-14E IIを外した方が良かったと思います。
SNSなどでの使用なら問題ないと思いますが、プリントするような鑑賞では画質の劣化が気になるのかもしれません。
まとめ。AFS 200-500の描写について。
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRは購入して、とても満足しています。
描写については、ボケは柔らかく、全体にメリハリの効いたコントラストの高いものだと感じています。カリカリの描写ではないので、野鳥の撮影に向いているでしょう。
性能に対してのコストパフォーマンスもよく、大きさと重さが問題にならなければ、お勧めできるレンズだと思います。
Zマウントでの同等スペックのレンズの発売は、まだ先のようですね。
Nikon AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
FTZを使えば、Zマウントとの併用もできます。
TC-14E Ⅲの方が画質劣化が防げるかもです。
追記:Ⅲ型の方がいいです。少しですがAFや画質が違います。
ニコン純正なら信頼と安心です。
シグマやタムロンからも同クラスのレンズは発売されているので、好みで検討されるのがいいと思います。
追記:どの鳥種を狙うかもにもよりますが、テレ側500mmではやはり焦点距離が短く感じるようになりました。600mmをAPS-Cサイズのカメラで使う場合、換算900mm。そのあたりのことも、レンズを選ぶ判断基準に入れた方がいいと思うようになりました。
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary
カリッとした描写ならシグマ。
TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 Model A022
柔らかいボケ味ならタムロンでしょう。
野鳥の撮影は初期投資が高くなりますが、長く続けらることなので奮発した方が幸せになれるのではないでしょうか。