ニコンのZマウント単焦点レンズNIKKOR Z 40mm f/2とNikon Z6IIの組み合わせは軽量コンパクト。汎用性の高い40mmという焦点距離で扱いやすい。これならハイキングなどに持っていっても苦にならないということで、鎌倉北部にある「天園ハイキングコース」を歩きながらスナップ撮影してきました。
<目次>
NIKKOR Z 40mm f/2について。
はじめにNIKKOR Z 40mm f/2の基本情報です。
- 焦点距離:40mm(APS-Cカメラ使用では60mm相当)。
- 絞り:開放f/2、最小絞りf/16
- レンズ構成:4群6枚
- 絞り羽:9枚(電磁絞り)
- 最短撮影距離:0.29m
- 最大撮影倍率:0.17倍
- フィルター径:52mm
- サイズ:最大径約71.5mm×全長約45.5mm
- 質量:約170g
沈胴式レンズではないので、電源ONですぐに撮影できます。AFにはステッピングモーターを搭載し、IF(インターナルフォーカス)方式で高速化、素早く正確に合焦。防塵防滴に配慮した設計でアウトドアでも気軽に持ち出せます。
小型軽量なのでハイキングなどの荷物が多いときの相棒になります。最短撮影距離が0.29mなので、テーブルフォトも座ったままでOK。扱いやすい40mmという焦点距離は慣れると万能で、開放絞り(f/2)を使って、背景を綺麗にボカすことができるので表現の幅が広がります。
建長寺から天園ハイキングコースへ。
スタートは建長寺。建長寺から天園ハイキングコースへ向かうには境内を通るので、拝観料500円が必要になります。建長寺では、三門、仏殿、法堂、唐門などが重要文化財なので、この機会に見学させていただきました。法堂の天井には日本画家の小泉淳作が描いた雲龍図が掲げられており、その迫力に圧倒されます。
建長寺境内を見学して半僧坊へ向かう途中です。
NIKKOR Z 40mm f/2とNikon Z6IIの組み合わせは軽く扱いやすいので、階段の途中で立ち止まっての撮影でもめんどうになりません。このレンズの周辺減光はかなり強いのですが、個人的には好意的に思っていて、この写真のように中央部に視線を誘導する構図を選びがちです。
紅葉がまだ少し残っていました。ちょうど日が差してきたのでスナップ。
このレンズではいろいろと撮影してきているので、40mmという焦点距離には慣れてきました。構図をあまり悩まずに、見たままのイメージで切り取れるようになりました。慣れると扱いやすい焦点距離だと思います。
NIKKOR Z 40mm f/2の歪曲収差はほとんど無視できるレベル。直線が並ぶ被写体でもRAWデータからの書き出しで、プロファイルの有無は気にしないでも大丈夫だと思います。
この記事ではRAWデータはCaptureOne21で現像、jpegデータは撮って出しでそれぞれブログ用にリサイズしています。トリミングはしていません。
半僧坊までの参道には大小12体の天狗像が祀られ、参拝者を見守っています。
画面右上に入り込んでいる木の枝には、パープルフリンジが出てしまいました。個人的にはそんなに気にするほどのレベルではないので、スルーしちゃってます。
鎌倉の街並みと相模湾を見渡す天狗像。
露出差が大きい写真でRAWデータから調整しています。Nikon Z6IIのダイナミックレンジはシャドーからハイライトまで階調豊富で調整しやすく、多少ラフな露出でも後処理で問題ありません。NIKKOR Z 40mm f/2でのスナップを手助けしてくれるカメラボディだと思います。
天園ハイキングコースを歩く。
半僧坊から天園ハイキングコースに入り、5分くらいのところにある十王岩。「かながわの景勝50選 鎌倉十王岩の展望」という石碑が目印です。
石碑の後ろの岩の上には、かなり風化が進んだ仏像が3体並んでいました。向かって左から如意輪観音・血盆地蔵・閻魔大王とされています。この仏像に吹き上げる風が反響し喚くような音がしたことから「喚き十王」とも呼ばれたそうです。
弘法大師像です。
天園ハイキングコースを歩く前の下調べ中に見つけていました。グーグルマップ上に印があったのですが、知らないと通り過ぎてしまそうです。階段にはなっているのですが、かなり急で足場が悪く、途中までしか上がっていません。弘法大師像はその上にあるので、少し上がったところからZ6IIのチルトモニターを下向きして、カメラを高く上げた状態で撮らせていただきました。
このあたりはハイキングコースといっても覚園寺の境内で、ここから少し先に覚園寺へ向う分岐があります。覚園寺は真言宗のお寺。弘法大師は空海のことで真言宗の開祖です。
天園ハイキングコースは多少のアップダウンはあるものの基本は水平移動です。特に危ない箇所もなく軽いハイキングの装備で歩けます。
こちらの写真はjpegの撮って出しで、ブログ用にリサイズのみ。f/8まで絞っているので、全体がビシッとしています。Sラインのレンズほどではありませんが、SNSやブログ記事に投稿するくらいなら十分すぎるくらいに綺麗。現代のレンズでそれなりにシャープですが、どことなく懐かしい感じもする描写です。
大平山山頂から。
大平山の山頂にやってきました。山頂のすぐ下は広場のようになっていて、ハイカーの休憩スポットになっています。ここで昼食をとる方も多いのですが、上空にはトビがいるので、とられないように注意が必要です。
大平山は標高159.4m(写真の板には159.2mとありますが、0.2mの差は「海抜」だからなのでしょうか)。東西に伸びる尾根一帯を「鎌倉アルプス」と呼びます。この尾根道を歩くルートが天園ハイキングコースです。
大平山は鎌倉市の最高峰。広場からは、鎌倉市街を垣間見つつ相模湾を望めます。海と雲の間には江ノ島が霞んで見えています。
NIKKOR Z 40mm f/2は、広角レンズのように広がりのある景色を写すことはできません。しかし、実際に使っていくとこの画角でも十分。自分が見た風景を写真に残してくれるので、不満はありません。
大平山の広場を過ぎて左にゴルフ場を見ながら少し進むと、トイレが右手にあります。
この写真を撮ったのは12時くらい。12月の末の太陽は思ったよりも低くしか上がりませんでした。
NIKKOR Z 40mm f/2での逆光はとくに使っていて問題になるようなことはありません。「逆光に強い」とは言えませんが、むしろ情緒的にフレアやゴーストが出て欲しいくらいです。
今回の天園ハイキングコースは、北鎌倉駅〜建長寺~半僧坊~大平山~瑞泉寺~鎌倉駅というルート。道案内は、瑞泉寺方向へ進みます。
NIKKOR Z 40mm f/2のボケは好みの分かれるところかと。ちょっとザワつくのかな。綺麗だから積極的に使うのではなくて、意識せずに普通に「背景をボカそう」や「被写体を目立たそう」という、なんとなくなニュアンスで使ってます。
瑞泉寺裏山にあたる場所にある「貝吹地蔵」。
こちらの貝吹地蔵、新田勢が攻めてきたことを貝を吹き鳴らして知らせ、その鎌倉攻めで自害した北条高時の首をもちながら逃げていた家来を、ふたたび貝を吹きながら案内してくれたという伝説があるそうです。
綺麗な赤いバンナが巻かれているので正面からニコパチ的に撮らせていただきました。どなたかがお参りと手入れをされているのでしょう、こちらも知らないと素通りしてしまいそうな場所にあります。
美しい斜光。
天園(てんえん)は東郷平八郎が「天国の園に遊ぶようだ」と形容したことが由来とのこと。東郷平八郎は日露戦争で連合艦隊司令長官として旗艦三笠で指揮をとった人物です。
尾根道を歩く天園ハイキングコースは街の空気とは違ってどこか気持ちがいいものです。ときおり見える鎌倉の街並みやキラキラと光る海、斜光が描く樹木のコントラストに、ついついシャッターを押してしまいます。自画自賛ですが、写した写真はどれも素敵に見えました。
ハイキングの終わりに。
瑞泉寺近くの天園ハイキングコースの出入口につきました。
建長寺(半僧坊)からここまで、約3.8km。途中で撮影しつつ、昼食、休憩しながらで、ここまで約3時間30分かかりました。その後、鶴岡八幡宮でお参りし鎌倉散歩を楽しんで帰宅としました。
Nikon Z6IIとNIKKOR Z 40mm f/2の組み合わせは軽い。ハイキングで首から下げていても重さは気になりませんし、小さいレンズなので邪魔になりません。ファインダーを覗いて構図をしっかりと決めてもいいし、背面液晶での撮影も便利です。
野鳥撮影では大きく重い望遠レンズを持っていくことが多いので、ハイキングなどにはNIKKOR Z 40mm f/2のようなレンズを持っていくことで、気軽な撮影を楽しんでいます。